放送法の一部を改正する法律

第198回通常国会において成立した「放送法の一部を改正する法律」は、①NHKについてインターネット活用業務の対象を拡大するとともに、②NHKグループの適正な経営を確保するための制度を充実するほか、③衛星基幹放送の業務の認定要件の追加を行うものである。①について、近年の視聴環境の変化に伴い、放送番組をインターネットを通じて様々な機器・場所・時間等において視聴したいという国民・視聴者からの期待やニーズが明らかになったことを踏まえ、NHKがそうした期待に応えて常時同時配信を実施することにより、他の放送事業者によるインターネット同時配信についてNHKが先導的役割を果たすとともに、NHKの放送番組の視聴...

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Published in情報通信政策研究 Vol. 3; no. 1; pp. 145 - 160
Main Authors 上原, 仁, 矢部, 慎也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 総務省情報通信政策研究所 29.11.2019
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ISSN2433-6254
2432-9177
DOI10.24798/jicp.3.1_145

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Summary:第198回通常国会において成立した「放送法の一部を改正する法律」は、①NHKについてインターネット活用業務の対象を拡大するとともに、②NHKグループの適正な経営を確保するための制度を充実するほか、③衛星基幹放送の業務の認定要件の追加を行うものである。①について、近年の視聴環境の変化に伴い、放送番組をインターネットを通じて様々な機器・場所・時間等において視聴したいという国民・視聴者からの期待やニーズが明らかになったことを踏まえ、NHKがそうした期待に応えて常時同時配信を実施することにより、他の放送事業者によるインターネット同時配信についてNHKが先導的役割を果たすとともに、NHKの放送番組の視聴機会の拡大を図ることで、NHKの目的達成に資するものである。具体的な制度整備の内容は、NHKが国内テレビ基幹放送の全ての放送番組の常時同時配信を実施することを可能とし、併せてNHKの目的や受信料制度の趣旨に沿って適切に業務が実施されることを確保するため必要な措置として、地方向けの放送番組の提供や他の放送事業者との協力を努力義務としたほか、実施基準の認可要件の見直し及び実施計画の届出・公表義務を法定したことに加え、事後規律の充実を行っている。②について、受信料を財源として行われるNHKの業務拡大を行うに当たっては、NHKへの国民・視聴者の信頼確保という観点からNHKのガバナンス改革を行うことが必要である。そこで、NHKグループの内部統制の強化、監査委員会のチェック機能の強化、NHK役員のNHKに対する忠実義務の明確化等コンプライアンスの確保に係る制度を充実した。さらに、透明性の確保のための情報公開に係る制度の整備、及び中期経営計画の策定・公表に関する制度の整備を行うこととした。③について、衛星基幹放送に係る周波数の有効利用を図るため、衛星基幹放送の業務の認定要件に、総務省令で定める周波数の使用に関する基準に適合することを追加することとした。
ISSN:2433-6254
2432-9177
DOI:10.24798/jicp.3.1_145