ストレスに対する漢方薬の有用性 基礎研究からの検討

「はじめに」社会構造の複雑化に伴い, 以前にはなかった人間関係の形成様式が新たなストレスとなっている. 現代社会において, ストレスフリーな生活を送ることはほぼ不可能であり, ストレスの原因となる出来事(ストレッサー)を, 何らかの方法で回避する, ストレスが生じた際には耐える, 発散するなどの対処が必要である. 適切に対処できない場合, 種々の愁訴やうつ病をはじめとする精神疾患の発病や増悪につながる可能性が生じてくる. そこでは, 早期の対応が求められ, 薬物療法もその一策ではあるが, 抗うつ薬や抗精神病薬, 抗不安薬などの西洋薬を早期から使用するよりも, 作用がマイルドで, 副作用の少ない...

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Published inEquilibrium Research Vol. 80; no. 4; pp. 296 - 302
Main Authors 塚田, 愛, 池本, 英志, 井上, 達貴, 小島, 衣里加, 福岡, 聖也, 砂川, 正隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本めまい平衡医学会 31.08.2021
日本めまい平衡医学会
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Summary:「はじめに」社会構造の複雑化に伴い, 以前にはなかった人間関係の形成様式が新たなストレスとなっている. 現代社会において, ストレスフリーな生活を送ることはほぼ不可能であり, ストレスの原因となる出来事(ストレッサー)を, 何らかの方法で回避する, ストレスが生じた際には耐える, 発散するなどの対処が必要である. 適切に対処できない場合, 種々の愁訴やうつ病をはじめとする精神疾患の発病や増悪につながる可能性が生じてくる. そこでは, 早期の対応が求められ, 薬物療法もその一策ではあるが, 抗うつ薬や抗精神病薬, 抗不安薬などの西洋薬を早期から使用するよりも, 作用がマイルドで, 副作用の少ない漢方薬の方が導入しやすいと我々は考える. 漢方臨床では, ストレスが関連する症状や疾患に対して抑肝散, 抑肝散加陳皮半夏, 四逆散, 香蘇散, 加味逍遙散, 加味帰脾湯, 柴胡加竜骨牡蛎湯, 桂枝加竜骨牡蛎湯, 半夏厚朴湯, 六君子湯などが, 患者の体質や症状(東洋医学でいう証)に応じて, 用いられている.
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.80.296