血管性頭痛の病態解明に関する研究 片頭痛発作と頭蓋内血管異常
血管性頭痛58例の4 vessel study及びCT所見より, 頭蓋内血管形態異常を伴つた典型的片頭痛症4例を検索することができた. この4例を呈示し, その臨床病態を考察した. 症例1は, 右後大脳動脈の造影が, 内頸, 椎骨動脈系から常時微小であつた. 症例2は, 左後大脳動脈の分枝より栄養された小血管腫が左側脳室三角部傍側部に存在した. 症例3は, 最も強勢な輸入血管が右後大脳動脈であつた右後頭葉動静脈奇形が存在し, これの全摘により片頭痛発作は消失した. 症例4は, 脳正中深部に連珠状ガレン氏動静脈瘤が在り, 右後大脳動脈起始部より分岐した2本の太い異常血管がfeederであつた....
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Published in | 医療 Vol. 34; no. 11; pp. 963 - 971 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国立医療学会
01.11.1980
医療同好会 |
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ISSN | 0021-1699 1884-8729 |
DOI | 10.11261/iryo1946.34.963 |
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Summary: | 血管性頭痛58例の4 vessel study及びCT所見より, 頭蓋内血管形態異常を伴つた典型的片頭痛症4例を検索することができた. この4例を呈示し, その臨床病態を考察した. 症例1は, 右後大脳動脈の造影が, 内頸, 椎骨動脈系から常時微小であつた. 症例2は, 左後大脳動脈の分枝より栄養された小血管腫が左側脳室三角部傍側部に存在した. 症例3は, 最も強勢な輸入血管が右後大脳動脈であつた右後頭葉動静脈奇形が存在し, これの全摘により片頭痛発作は消失した. 症例4は, 脳正中深部に連珠状ガレン氏動静脈瘤が在り, 右後大脳動脈起始部より分岐した2本の太い異常血管がfeederであつた. これら4症例は, すべて1側の後大脳動脈の血行不全もしくは過剰血行が存在し, この流域の循環性instabilityは間脳, 上部脳幹に微妙に影響し, 片頭痛発作の中枢性triggerになりやすいという推論を支持する証拠の一つとなるであろう. |
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ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.34.963 |