外傷後に皮膚浸潤, 鼡径リンパ節転移をきたした睾丸腫瘍 除睾術前の化学療法の有効例
外傷後に皮膚浸潤, 鼡径リンパ節転移を来たした58歳の睾丸腫瘍 (anaplastic seminoma) 症例を経験した. 皮膚浸潤の程度が強く, 即時手術が不可能と判断されたので, まず化学療法 (PVB) を2コース施行. 睾丸腫瘍, 転移リンパ節ともに急速に縮小した. その後除睾術, およびリンパ節廓清を行なったところ組織学的に腫瘍細胞の残存は認められなかった. 除睾術後17カ月を経るが, 再発の徴候を認めない. 睾丸腫瘍では原発巣と転移巣の化学療法に対する感受性が異なるとされ, 発見しだいできるだけ早期に除睾術をしなければならない. しかし本症例のごとく即時手術が不可能な条件下では化...
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Published in | 日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 79; no. 7; pp. 1254 - 1257 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本泌尿器科学会
1988
The Japanese Urological Association 社団法人日本泌尿器科学会 |
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ISSN | 0021-5287 1884-7110 |
DOI | 10.5980/jpnjurol1928.79.7_1254 |
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Summary: | 外傷後に皮膚浸潤, 鼡径リンパ節転移を来たした58歳の睾丸腫瘍 (anaplastic seminoma) 症例を経験した. 皮膚浸潤の程度が強く, 即時手術が不可能と判断されたので, まず化学療法 (PVB) を2コース施行. 睾丸腫瘍, 転移リンパ節ともに急速に縮小した. その後除睾術, およびリンパ節廓清を行なったところ組織学的に腫瘍細胞の残存は認められなかった. 除睾術後17カ月を経るが, 再発の徴候を認めない. 睾丸腫瘍では原発巣と転移巣の化学療法に対する感受性が異なるとされ, 発見しだいできるだけ早期に除睾術をしなければならない. しかし本症例のごとく即時手術が不可能な条件下では化学療法を除睾術に優先させ, 良好な治療効果が期待できると考える. |
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ISSN: | 0021-5287 1884-7110 |
DOI: | 10.5980/jpnjurol1928.79.7_1254 |