唇顎口蓋裂と唇顎裂を有した一卵性双生児の顎発育に関する縦断的観察 二段階口蓋形成手術法の影響
一卵性双生児と診断された唇顎口蓋裂を有する兄と唇顎裂を有する弟の顎顔面形態を縦断的に観察し,二段階口蓋形成手術法が顎発育に与える影響について検討した. その結果, 1.硬口蓋閉鎖術前に兄は弟に比べ上顎の前方への成長抑制が観察された.また上顎後方部の下方への成長も抑制されていた. 2.硬口蓋長は硬口蓋閉鎖術まで兄弟間でほとんど差を認めなかった.硬口蓋閉鎖術後には兄は弟に比較して発育抑制がみられた. 3.兄では下顎の時計方向の回転を認めた. 4.兄弟ともに上下顎問の前後的位置関係には著しい不調和を認めなかった.二段階口蓋形成手術法では上顎歯槽部が比較的障害されずに大きくなるため,歯列不正は軽度であ...
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Published in | 日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 27; no. 3; pp. 339 - 349 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本口蓋裂学会
30.10.2002
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Subjects | |
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ISSN | 0386-5185 2186-5701 |
DOI | 10.11224/cleftpalate1976.27.3_339 |
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Summary: | 一卵性双生児と診断された唇顎口蓋裂を有する兄と唇顎裂を有する弟の顎顔面形態を縦断的に観察し,二段階口蓋形成手術法が顎発育に与える影響について検討した. その結果, 1.硬口蓋閉鎖術前に兄は弟に比べ上顎の前方への成長抑制が観察された.また上顎後方部の下方への成長も抑制されていた. 2.硬口蓋長は硬口蓋閉鎖術まで兄弟間でほとんど差を認めなかった.硬口蓋閉鎖術後には兄は弟に比較して発育抑制がみられた. 3.兄では下顎の時計方向の回転を認めた. 4.兄弟ともに上下顎問の前後的位置関係には著しい不調和を認めなかった.二段階口蓋形成手術法では上顎歯槽部が比較的障害されずに大きくなるため,歯列不正は軽度であり,頭蓋底に対する上顎の位置が後方であっても,下顎の適応と相まって,著しい不調和のない上下顎関係が得られるものと考えられた. |
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ISSN: | 0386-5185 2186-5701 |
DOI: | 10.11224/cleftpalate1976.27.3_339 |