巨大腎細胞癌の1例
腎細胞癌は臨床的に珍しいものではないが, 最近我々は摘出重量3680gの巨大腎細胞癌の1例を経験したので報告する. 症例は78才の男性で, 腹部腫瘤を3ヵ月前より自覚し, 1981年12月22日当院受診した. CT, DIPにて右腎より発生した巨大な腫瘤影を認めた. 本人の強い希望にて一時退院したが, 約2ヵ月で腫瘤の急速な増大を来し, 再入院した. 1982年3月23日経腹的右腎摘出術施行. 術後3週目より消化管出血, 膵液瘻出現し, 4月22日永眠した. 摘出標本は重量3680gで, 腫瘍の一部は典型的clear cell carcinomaであったが, 腫瘍の大半は線維肉腫を思わせる組織...
Saved in:
Published in | 医療 Vol. 37; no. 10; pp. 969 - 972 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国立医療学会
01.10.1983
医療同好会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-1699 1884-8729 |
DOI | 10.11261/iryo1946.37.969 |
Cover
Summary: | 腎細胞癌は臨床的に珍しいものではないが, 最近我々は摘出重量3680gの巨大腎細胞癌の1例を経験したので報告する. 症例は78才の男性で, 腹部腫瘤を3ヵ月前より自覚し, 1981年12月22日当院受診した. CT, DIPにて右腎より発生した巨大な腫瘤影を認めた. 本人の強い希望にて一時退院したが, 約2ヵ月で腫瘤の急速な増大を来し, 再入院した. 1982年3月23日経腹的右腎摘出術施行. 術後3週目より消化管出血, 膵液瘻出現し, 4月22日永眠した. 摘出標本は重量3680gで, 腫瘍の一部は典型的clear cell carcinomaであったが, 腫瘍の大半は線維肉腫を思わせる組織像であつた. 考案本邦では摘出重量2000g以上の腎細胞癌症例は自験例も含め16例報告されている. うち自験例は第3番目の巨大腎細胞癌症例と思われる. 一方, 病理組織学的には自験例の組織像はFarrowらの唱えたsarcomatoid renal carcinomaに相当すると思われる |
---|---|
ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.37.969 |