頭蓋冠形態と下顎窩の位置の三次元解析 第二報 非対称を伴う骨格性下顎前突症例を用いた検討

「緒言」近年, 歯科領域において, 診断や治療に三次元情報が活用されることが多い. 顎変形症治療においても, CT画像を用いることで, 頭部X線規格写真やオルソパントモグラフのような二次元画像では定量化や解析が困難な顎骨形態や構造の評価が可能となっている. これまでわれわれは, 非対称を伴わない骨格性下顎前突の女性19例のCT画像を用いて, 頭蓋冠形態と下顎窩の位置を三次元的に解析した. その結果, 頭蓋正中に対してオトガイ棘の側方偏位がない骨格性下顎前突症例において, 頭蓋冠の前後径が片側性に長い症例では同側の下顎窩は後方に位置していた. またこのような症例では, 下顎骨体長の左右差が下顎窩...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 30; no. 4; pp. 267 - 280
Main Authors 須田, 直人, 山口, 浩司, 佐々木, 会, 上里, 忠成, 豊田, 亜希子, 川尻, 朱美, 藤本, 航大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 2020
日本顎変形症学会
Subjects
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ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd.30.267

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Summary:「緒言」近年, 歯科領域において, 診断や治療に三次元情報が活用されることが多い. 顎変形症治療においても, CT画像を用いることで, 頭部X線規格写真やオルソパントモグラフのような二次元画像では定量化や解析が困難な顎骨形態や構造の評価が可能となっている. これまでわれわれは, 非対称を伴わない骨格性下顎前突の女性19例のCT画像を用いて, 頭蓋冠形態と下顎窩の位置を三次元的に解析した. その結果, 頭蓋正中に対してオトガイ棘の側方偏位がない骨格性下顎前突症例において, 頭蓋冠の前後径が片側性に長い症例では同側の下顎窩は後方に位置していた. またこのような症例では, 下顎骨体長の左右差が下顎窩の前後的位置の不均衡を補償することで, 下顎非対称の発症を防いでいる可能性を報告した. 上記のような症例に対して, 下顎非対称症例では, 左右非対称な関節突起と下顎枝や, 下顎骨体の形態的特徴が報告されている.
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd.30.267