卵巣摘出ラットの血清ならびに骨のγ-カルボキシグルタミン酸含有タンパク質濃度に及ぼすエストロゲン投与の影響

卵巣摘出術あるいは偽手術を施したラットに, 手術後2カ月あるいは5カ月後から, エストロゲンを1カ月間投与し, 骨ならびに血清中のBGP含有量に, エストロゲンがどのような影響を与えるかを観察した. 骨のBGP含有量は, 手術後3カ月間飼育した卵巣摘出群が, 対照群にくらべて有意に増大していたが, その他の群ならびに手術後6カ月間飼育したラットの各群においては著明な変動は観察されなかった.一方, 血清のBGP含有量は, 手術後3カ月ならびに6カ月間飼育した各群共に, 卵巣摘出によって対照群にくらべて有意に増大し, エストロゲンの投与によって, 卵巣摘出群ならびに対照群共に減少した.このエストロ...

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Published in家政学雑誌 Vol. 36; no. 2; pp. 114 - 120
Main Authors 横山, 嘉子, 森内, 幸子, 堤, ちはる
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本家政学会 01.02.1985
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ISSN0449-9069
1884-7870
DOI10.11428/jhej1951.36.114

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Summary:卵巣摘出術あるいは偽手術を施したラットに, 手術後2カ月あるいは5カ月後から, エストロゲンを1カ月間投与し, 骨ならびに血清中のBGP含有量に, エストロゲンがどのような影響を与えるかを観察した. 骨のBGP含有量は, 手術後3カ月間飼育した卵巣摘出群が, 対照群にくらべて有意に増大していたが, その他の群ならびに手術後6カ月間飼育したラットの各群においては著明な変動は観察されなかった.一方, 血清のBGP含有量は, 手術後3カ月ならびに6カ月間飼育した各群共に, 卵巣摘出によって対照群にくらべて有意に増大し, エストロゲンの投与によって, 卵巣摘出群ならびに対照群共に減少した.このエストロゲン投与による血清BGP含有量の減少は, 対照群より卵巣摘出群のほうが著明であった. 一方, 血清カルシウム濃度ならびに骨由来アルカリホスファターゼ活性には, 著明な変化は観察されなかった. 骨の無脱灰標本から, 卵巣摘出により海綿骨が減少し, エストロゲン投与により, その減少が抑制されることが観察された. 以上の結果から, 卵巣摘出ラットによる、血清BGP含有量の増大は, エストロゲンの欠如により骨吸収が高まり, 骨からのカルシウムの動員と共に, BGPが血流中に遊離してきたためにおこったものと推察された.
ISSN:0449-9069
1884-7870
DOI:10.11428/jhej1951.36.114