林木種子發芽力鑑定上「パーオキシダーゼ」反應ノ價値

• Published in: 林學會雑誌 Vol. 1926; no. 37; pp. 19 - 63
• Main Author: 小山, 光男
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 日本森林学会 1926
• ISSN: 2185-8187
• DOI: 10.4005/jjfs1919.1926.37_19

一、種子ヲ無處理ノ儘「セルロイド」板ノ間ニ挿ミ、之ヲ壓搾破碎シテ「グァヤツク」反應ヲ檢スルコトニ依リ、一粒毎ニ「パーオキシダーゼ」ノ活力ノ有無ヲ檢シ得ベシ。但シ、ひのき種子ニ在リテハ、適當ナル處理ヲナスノ要アリ。而シテ斯ノ如キ方法ニ依リテ檢シタル「パーオキシダーゼ」ノ活力ト種子ノ發芽力トノ關係ヲ見ルニ、供試種子二十種中十八種ニ在リテハ、「パーオキシダーゼ」ハ種子ノ發芽力消失後、少クトモ一二年、長キハ二十七八年ニ亙リテ、其ノ活力ヲ持續ス。又ひのき及さはらノ二種ノ「パーオキシダーゼ」ハ、發芽力消失後、比較的短期間其ノ活力ヲ保持スルニ止マルモノノ如ク、既ニ種齢一年半以上ニ達スレバ、殆ド全ク消失ス。 二、供試種子ノ殆ド全部ハ、種子ガ「パーオキシダーゼ」ノ「グァヤツク」反應ヲ呈スルコトハ、必ズシモ常ニ當該種粒ガ發芽力アルモノタルコトヲ示ス正確ナル標徴トナスニ足ラズ、從テ「グァヤツク」反應ヲ呈セル種粒ノ數ニ依リテ、算定セル發芽率ハ、常ニ信頼シ得ラレザルノミナラズ、往々ニシテ、大ナル誤斷ニ陥ルコトナキヲ保シ難シ。 三、「グァヤツク」反應ハ、頗ル鋭敏ニシテ、試藥ノ性質及之ガ滴加ノ順序等ノ反應ニ及ボス影響ハ、種子ノ種類ニ依リ、或ハ新古ニ依リテ、必ズシモ一様ナラズ。且同一試料ニ在リテモ、著色ハ濃藍色ヨリ無色ニ至ルマデ、連續的ニ存スル場合少カラザルヲ以テ、假令發芽力ノ消失ト「パーオキシダーゼ」ノ活力ノ消失ト相伴フ場合ト雖。之ニ依リ、種子ノ發芽力ノ有無ヲ判定スルコトハ、必ズシモ常ニ容易ナラズシテ、恰モ切斷シテ、健否ヲ肉眼鑑定スル場合ト、略々同様ノ困難ニ陥ルコトナキヲ保シ難シ。 四、「カタラーゼ」ノ活力ハ、種子發芽力消失後、長ク持續スルコト「パーオキシダーゼ」ニ似テ、更ニ之ヨリモ顯著ナリ。從テ單ニ其ノ活力ノ有無ノミニ依リテ、發芽力ノ有無ヲ鑑定スルコトハ、少クトモ供試種齢ノ範圍内ニ於テハ、殆ド不可能ナリ。即チ供試種子中「カタラーゼ」ノ活力ヲ認メザリシハ、種齢十二年以上ノくすノミニシテ、他ハ各試料何レモ其ノ反應ヲ認メ得タリ。本研究ハ農林省林業試驗場ニ於テ施行セルモノニシテ、技師川村實平氏ノ助言ヲ得タルコト多ク、又實驗ニ際シ、雇水谷竹次郎、助手田村力兩氏ヲ煩ハシタルコト多シ。茲ニ謹ンデ謝意ヲ表ス。