日本国内のブルーベリー圃場で検出された植物寄生性線虫の分子生物学的同定とリアルタイムPCRによる定量法の確立
近年日本では都市近郊でブルーベリーの栽培が拡大しているが、ブルーベリーの線虫に関する国内の報告はない。本研究では、日本のブルーベリー圃場の植物寄生性線虫(PPN)の同定とリアルタイムPCRを用いた土壌からの直接定量法の確立を目的とし、神奈川県と東京都の6 圃場から土壌を採取した。これら土壌から線虫を分離し、Pratylenchus penetrans、Helicotylenchusdihystera、Meloidogyne incognita、Paratrichodorusrenifer、Tylenchorhynchus claytoni、Criconema mutabileを分子生物学的に同...
Saved in:
Published in | 日本線虫学会誌 Vol. 54; pp. 9 - 17 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本線虫学会
2024
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0919-6765 1882-3408 |
DOI | 10.3725/jjn.54.9 |
Cover
Summary: | 近年日本では都市近郊でブルーベリーの栽培が拡大しているが、ブルーベリーの線虫に関する国内の報告はない。本研究では、日本のブルーベリー圃場の植物寄生性線虫(PPN)の同定とリアルタイムPCRを用いた土壌からの直接定量法の確立を目的とし、神奈川県と東京都の6 圃場から土壌を採取した。これら土壌から線虫を分離し、Pratylenchus penetrans、Helicotylenchusdihystera、Meloidogyne incognita、Paratrichodorusrenifer、Tylenchorhynchus claytoni、Criconema mutabileを分子生物学的に同定し、P. renifer、T. claytoni、C. mutabile、H. dihystera に対し、リボソームRNA の内部転写スペーサー領域にリアルタイムPCR 用プライマーを新規に設計または改良し、検量線を得た。これらの線虫のDNA 溶液を用いたリアルタイムPCR による定量限界は、それぞれ20g 土壌中の密度でP. penetrans:84.4、M. incognita:9.1、P. renifer:10.4、C. mutabile:19.4、T. claytoni:1.6、H. dihystera:23.2 であった。またこれらのプライマーは、採取した土壌中の非標的PPNのDNAを増幅しないか、増幅してもCt 値34.3 以上のきわめて低効率だった。本研究により日本のブルーベリー圃場に生息するPPN が初めて同定され、その分子生物学的定量法が開発された。 |
---|---|
ISSN: | 0919-6765 1882-3408 |
DOI: | 10.3725/jjn.54.9 |