歯科施設における摂食・嚥下障害に対する(入院外来,在宅,訪問)リハビリテーションの臨床的検討

新潟大学歯学部附属病院では,平成11年4月から9月までの準備期間を経て,同年10月に摂食・嚥下リハビリテーション外来/入院を開設した.今回は,当歯学部附属病院に専門外来を設置し,摂食・嚥下障害に取り組む意義を明確にする目的で対象患者の実態を把握し,今後の課題と可能性について検討した.対象患者は,平成11年4月1日から同年12月31日までに当学部附属病院にて摂食・嚥下リハビリテーションを施行した40名(男性21名,女性19名),年齢は最年小が2歳6カ月,最高齢が94歳であり,内訳は機能的障害が26名,器質的障害が14名であった.疾患別では,口腔癌術後14名,脳卒中8名,痴呆8名,パーキンソン病3...

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Published in日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 4; no. 2; pp. 55 - 63
Main Authors 田沢, 貴弘, 野村, 修一, 紋谷, 光徳, 山田, 好秋, 植田, 耕一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会 30.12.2000
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ISSN1343-8441
2434-2254
DOI10.32136/jsdr.4.2_55

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Summary:新潟大学歯学部附属病院では,平成11年4月から9月までの準備期間を経て,同年10月に摂食・嚥下リハビリテーション外来/入院を開設した.今回は,当歯学部附属病院に専門外来を設置し,摂食・嚥下障害に取り組む意義を明確にする目的で対象患者の実態を把握し,今後の課題と可能性について検討した.対象患者は,平成11年4月1日から同年12月31日までに当学部附属病院にて摂食・嚥下リハビリテーションを施行した40名(男性21名,女性19名),年齢は最年小が2歳6カ月,最高齢が94歳であり,内訳は機能的障害が26名,器質的障害が14名であった.疾患別では,口腔癌術後14名,脳卒中8名,痴呆8名,パーキンソン病3名,重症筋無力症3名,その他4名であった.全身疾患発症から6カ月以上を経過した疾患の維持期で,準備期障害の患者が最も多く,食事への関心は状態が安定してから改めて浮き彫りになると推察された.40名中,経管あるいは点滴管理であった患者は26名であったが,そのうち20名が摂食・喋下リハビリテーション介入後経管離脱,あるいは経口摂取併用となった.また,摂食・嚥下リハビリテーションを遂行するにあたって必要最小限の全身的リハビリテーション手技の確立,設備の確保,マンパワーの供給など課題が多く残った.これらのことから歯学部附属病院にて摂食・嚥下リハビリテーションの専門外来を設置することは,課題は山積されているものの,意義のあることと思われた.
ISSN:1343-8441
2434-2254
DOI:10.32136/jsdr.4.2_55