木曽川の河道内氾濫原水域におけるオオクチバスの食性

木曽川の43氾濫原水域(ワンドやタマリ)において,2023年9月に計5日間,定置網を用いて特定外来生物であるオオクチバスを捕獲した.オオクチバスは18氾濫原水域から捕獲され,それらの胃内容物を形態観察により種同定し,その食性を調べた.その結果,27個体のオオクチバス(全長:平均138.1±33.9 mm,範囲70.4–194.2 mm)の胃内容物からは,コイ科を中心とした14種の魚類と,エビ類,昆虫類が確認された.また,当歳魚と推定される小型個体をふくむ27個体のオオクチバスのうち24個体が魚類を捕食していた.ワンドやタマリのような河道内氾濫原は,在来魚類にとっての産卵場,仔稚魚の成育場として...

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Published in伊豆沼・内沼研究報告 Vol. 19; pp. 7 - 16
Main Authors 藤田, 朝彦, 堀江, 真子, 池谷, 幸樹, 北村, 淳一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団 2025
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ISSN1881-9559
2424-2101
DOI10.20745/izu.19.0_7

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Summary:木曽川の43氾濫原水域(ワンドやタマリ)において,2023年9月に計5日間,定置網を用いて特定外来生物であるオオクチバスを捕獲した.オオクチバスは18氾濫原水域から捕獲され,それらの胃内容物を形態観察により種同定し,その食性を調べた.その結果,27個体のオオクチバス(全長:平均138.1±33.9 mm,範囲70.4–194.2 mm)の胃内容物からは,コイ科を中心とした14種の魚類と,エビ類,昆虫類が確認された.また,当歳魚と推定される小型個体をふくむ27個体のオオクチバスのうち24個体が魚類を捕食していた.ワンドやタマリのような河道内氾濫原は,在来魚類にとっての産卵場,仔稚魚の成育場として機能する.しかしながら,同時にオオクチバス小型個体でも捕食可能な小型魚類が豊富な場所でもあるため,本種の好適な生育場となっている可能性が考えられる.したがって当地における本種による在来魚類群集への負の影響は大きいものと考えられる.
ISSN:1881-9559
2424-2101
DOI:10.20745/izu.19.0_7