病歴聴取困難により初期診断に難渋した破裂性腹部大動脈瘤の1治験例

脳梗塞後遺症で, 病歴聴取が困難なため初期診断に難渋した破裂性腹部大動脈瘤の1例を経験した.症例は77歳, 男性で, 2001年11月, 右下腹部から側腹部にかけての腹痛が出現し, 急性腹症疑いで当院救急外来へ搬送された.高度の難聴に加え, 脳梗塞の後遺症があり病状の聴取は困難であった.腹部X線では異常ガスはなく, 筋性防御もなかったためいったん消化器科へ入院となった.入院後, 腹痛の増悪があり腹部エコーで腹部大動脈瘤の破裂が疑われた.腹部CTで確診後, 緊急手術となった.救急外来到着から手術室搬入まで270分を要した.手術はY型人工血管置換術を行った.術後経過はおおむね良好で, 術後35日目...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 54; no. 2; pp. 153 - 156
Main Authors 行木, 太郎, 大滝, 章男, 上吉原, 光宏, 中野, 実, 小池, 俊明, 高橋, 英治, 坂田, 一宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.05.2004
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Summary:脳梗塞後遺症で, 病歴聴取が困難なため初期診断に難渋した破裂性腹部大動脈瘤の1例を経験した.症例は77歳, 男性で, 2001年11月, 右下腹部から側腹部にかけての腹痛が出現し, 急性腹症疑いで当院救急外来へ搬送された.高度の難聴に加え, 脳梗塞の後遺症があり病状の聴取は困難であった.腹部X線では異常ガスはなく, 筋性防御もなかったためいったん消化器科へ入院となった.入院後, 腹痛の増悪があり腹部エコーで腹部大動脈瘤の破裂が疑われた.腹部CTで確診後, 緊急手術となった.救急外来到着から手術室搬入まで270分を要した.手術はY型人工血管置換術を行った.術後経過はおおむね良好で, 術後35日目に退院した.自ら症状を説明できない救急患者では, あらゆる可能性を念頭に置いた診断と治療が不可欠である.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.54.153