Thrombotestの臨床的意義にかんする研究

血液凝固因子の臨床的意義にかんしてはなお不明の点が多い.著者はthrombotest (TT)の臨床的意義を究めんとし,肝・胆道疾患,動脈硬化症およびその他の疾患についてTTと血清総コレステロール(chol)を同時に測定した.その結果TTは急性肝炎の重症度の診断ならびに治癒判定上価値がある.またTTは慢性肝炎から肝硬変症への移行,肝硬変症における重篤な出血の予測など予後判定上意義がある.肝実質性疾患ではTTとcholとの間に有意の相関を認める.肝癌,胆嚢症ではTTの臨床的意義は掴み得ない.動脈硬化症では過chol血症や出血直後ではTT値はかなり低く,その他の疾患では出血傾向を伴なう二,三の疾患...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 54; no. 11; pp. 1239 - 1252
Main Author 西岡, 新吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 1966
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Summary:血液凝固因子の臨床的意義にかんしてはなお不明の点が多い.著者はthrombotest (TT)の臨床的意義を究めんとし,肝・胆道疾患,動脈硬化症およびその他の疾患についてTTと血清総コレステロール(chol)を同時に測定した.その結果TTは急性肝炎の重症度の診断ならびに治癒判定上価値がある.またTTは慢性肝炎から肝硬変症への移行,肝硬変症における重篤な出血の予測など予後判定上意義がある.肝実質性疾患ではTTとcholとの間に有意の相関を認める.肝癌,胆嚢症ではTTの臨床的意義は掴み得ない.動脈硬化症では過chol血症や出血直後ではTT値はかなり低く,その他の疾患では出血傾向を伴なう二,三の疾患に低値を示す.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.54.1239