腎および外腸骨動脈を合併切除した悪性線維性組織球腫の1例

成人における軟部組織肉腫のなかで悪性線維性組織球腫(MFH)は最も頻度が高いが,後腹膜に原発するものは稀である.症例は53歳,男性.突然の左下肢腫脹にて当院受診.下肢静脈エコーにて大腿静脈が閉塞しており,左下肢深部静脈血栓症と診断され入院となった.腹部CTにて左骨盤後腹膜に8 cm大の腫瘍を認め,左外腸骨動静脈,尿管を巻き込んでおり,左水腎症を併発していた.臨床的に肉腫と診断し,手術を施行した.手術は外腸骨動静脈,尿管と腫瘍を一塊に切除し,左腎摘出も行った.組織診断にて悪性線維性組織球腫(通常型), stage IIIbと診断された.術後にcisplatin, doxorubicin, ifo...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 11; pp. 2873 - 2878
Main Authors 熊谷, 佑介, 岡田, 稔, 岩本, 明美, 栗栖, 泰郎, 豊田, 暢彦, 岩永, 幸夫
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 2003
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Summary:成人における軟部組織肉腫のなかで悪性線維性組織球腫(MFH)は最も頻度が高いが,後腹膜に原発するものは稀である.症例は53歳,男性.突然の左下肢腫脹にて当院受診.下肢静脈エコーにて大腿静脈が閉塞しており,左下肢深部静脈血栓症と診断され入院となった.腹部CTにて左骨盤後腹膜に8 cm大の腫瘍を認め,左外腸骨動静脈,尿管を巻き込んでおり,左水腎症を併発していた.臨床的に肉腫と診断し,手術を施行した.手術は外腸骨動静脈,尿管と腫瘍を一塊に切除し,左腎摘出も行った.組織診断にて悪性線維性組織球腫(通常型), stage IIIbと診断された.術後にcisplatin, doxorubicin, ifosfamide併用化学療法を1クールを終了した後, CTにて局所再発および転移を認めず退院となった.術後11カ月を経て再発を認めていない.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.64.2873