慢性副鼻腔炎の細菌学的検討

慢性副鼻腔炎に対しては, 細菌学的検索を行い, 起炎菌を同定することが重要である。今回, 我々は慢性副鼻腔炎患者45名に対し, 上顎洞, 鼻腔からの細菌学的検索を行うとともに, 喉頭膿汁貯留液のみられる症例に対しては喉頭からの細菌学的検索も行い, それらを比較検討した。上顎洞, 鼻腔からの検出菌はS. epidermisが多く見られた。喉頭からの検出菌は多彩であり, 喀痰などの混在が考えられた。上顎洞と鼻腔の菌一致率は約70%であり, 鼻腔からの検出菌が上顎洞の菌を, ある程度反映していると思われた。しかし, 嫌気性菌が起炎菌の場合, 鼻腔からの検出は困難であった。鼻腔と喉頭の菌一致率は35%...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 39; no. Supplement1; pp. 11 - 15
Main Authors 石谷, 保夫, 嶋田, 高明, 阿部, 晃治, 中川, 伸一, 田村, 公一, 堀, 洋二, 増田, 博範, 小池, 靖夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.06.1996
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo1958.39.Supplement1_11

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Summary:慢性副鼻腔炎に対しては, 細菌学的検索を行い, 起炎菌を同定することが重要である。今回, 我々は慢性副鼻腔炎患者45名に対し, 上顎洞, 鼻腔からの細菌学的検索を行うとともに, 喉頭膿汁貯留液のみられる症例に対しては喉頭からの細菌学的検索も行い, それらを比較検討した。上顎洞, 鼻腔からの検出菌はS. epidermisが多く見られた。喉頭からの検出菌は多彩であり, 喀痰などの混在が考えられた。上顎洞と鼻腔の菌一致率は約70%であり, 鼻腔からの検出菌が上顎洞の菌を, ある程度反映していると思われた。しかし, 嫌気性菌が起炎菌の場合, 鼻腔からの検出は困難であった。鼻腔と喉頭の菌一致率は35%であり, 後鼻漏が喉頭膿汁に少なからず, 影響していることが示唆された。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo1958.39.Supplement1_11