副鼻腔炎におけるサイトカインの役割

慢性副鼻腔炎を始めとする難治性の上気道感染症では, 宿主の免疫学的防御機構の賦活が重要と言える。鼻粘膜は生体防御の最前線に位置し, 鼻咽腔関連リンパ装置 (NALT) の一部として局所粘膜免疫応答の重要な位置にある。我々は, 副鼻腔炎の重要な起炎菌の一つであるNontypable H. influenzaeの外膜蛋白の一つであるP6を用い, 経鼻免疫による鼻咽腔での抗P6特異的免疫応答の誘導およびサイトカインの関与について検討した。 その結果, P6の経鼻免疫によって鼻咽腔洗浄液中にP6特異的IgA抗体が誘導された。またIL-5, IL-6などのサイトカインの経鼻投与を併用することで, 鼻咽腔...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 39; no. Supplement1; pp. 46 - 48
Main Authors 與田, 順一, 九鬼, 清典, 保富, 宗城, 木村, 貴昭, 山中, 昇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.06.1996
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo1958.39.Supplement1_46

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Summary:慢性副鼻腔炎を始めとする難治性の上気道感染症では, 宿主の免疫学的防御機構の賦活が重要と言える。鼻粘膜は生体防御の最前線に位置し, 鼻咽腔関連リンパ装置 (NALT) の一部として局所粘膜免疫応答の重要な位置にある。我々は, 副鼻腔炎の重要な起炎菌の一つであるNontypable H. influenzaeの外膜蛋白の一つであるP6を用い, 経鼻免疫による鼻咽腔での抗P6特異的免疫応答の誘導およびサイトカインの関与について検討した。 その結果, P6の経鼻免疫によって鼻咽腔洗浄液中にP6特異的IgA抗体が誘導された。またIL-5, IL-6などのサイトカインの経鼻投与を併用することで, 鼻咽腔における抗P6特異的免疫応答は増強された。以上のことから鼻咽腔での特異的免疫応答において, サイトカインの併用が効果的であると考えられた。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo1958.39.Supplement1_46