成人発症の難治性胞巣型横紋筋肉腫に対するVincristine Irinotecan Temozolomide療法を用いた治療経験

「抄録」成人発症の胞巣型横紋筋肉腫は, まれであり, 再発しやすく予後が悪いと言われている. さまざまな化学療法が試されているが効果的な報告は少ない. 我々は, 難治性胞巣型横紋筋肉腫に対してVincristine Irinotecan Temozolomide (VITA) 療法を施行し, 長期完全奏効 (Complete Response : CR) を維持している症例を経験したため報告する. 症例は20歳代の男性で, トルコ鞍斜台に腫瘍を認め, 摘出生検を施行し胞巣型横紋筋肉腫と診断された. 残存腫瘤に対して放射線治療を施行し, CT検査で病変の消失を確認した. 術後3か月後に右頸部リン...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 44; no. 1; pp. 27 - 33
Main Authors 佐野史典, 近藤敏範, 清水里紗, 西村広健, 定平吉都, 和田秀穂, 杉原尚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 2018
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Summary:「抄録」成人発症の胞巣型横紋筋肉腫は, まれであり, 再発しやすく予後が悪いと言われている. さまざまな化学療法が試されているが効果的な報告は少ない. 我々は, 難治性胞巣型横紋筋肉腫に対してVincristine Irinotecan Temozolomide (VITA) 療法を施行し, 長期完全奏効 (Complete Response : CR) を維持している症例を経験したため報告する. 症例は20歳代の男性で, トルコ鞍斜台に腫瘍を認め, 摘出生検を施行し胞巣型横紋筋肉腫と診断された. 残存腫瘤に対して放射線治療を施行し, CT検査で病変の消失を確認した. 術後3か月後に右頸部リンパ節腫大が出現し, リンパ節郭清術を施行した. その2か月後に左頸部リンパ節腫大が出現したため, Childrens Oncology Group ARST0431レジメン (VI療法とVDC/IE交代療法およびVAC療法によるブロックから構成される計54週間の治療) を施行し, PET/CTでFDG集積の消失を確認し, CTでもリンパ節腫大病変は消失した. しかし, 1年後に左頸部リンパ節腫大が再度出現. 再発と判断し, VITA療法を開始した. 6コース施行しCTにてCRを確認した. 以後, 外来で経過観察中でありCRを維持している. 難治性胞巣型横紋筋肉腫に対してVITA療法は有用であると考えられ, 治療法の選択枝の一つとして考慮すべきである.
ISSN:0386-5924
DOI:10.11482/kmj-j44(1)27