照射により腫瘍細胞の消失を見たSuprasellar Germinomaの1剖検例

術後照射を行なったsuprasellar germinomaの症例で, 剖検により腫瘍組織の完全消失を確認した. 治療至適線量よりも少ない照射量にもかかわらず, 腫瘍組織の消失した理由として, germinomaの放射線感受性そのもののほかに, 合併した感染により出現したmacrophageによる腫瘍細胞の貪食の可能性をあげ, phagocyte動員によるgeminomaの免疫学的治療の可能性についてふれた. 「緒言」いわゆるtwo cell pattern pinealoma-germinomaは放射線感受性が高く, 照射療法のみで長期生存を示す例が多数報告されている1,2), しかし, 一...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 4; no. 1; pp. 8 - 14
Main Authors 中條節男, 村上昌穂, 藤野秀策, 深井博志, 調 輝男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 1978
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ISSN0386-5924
DOI10.11482/kmj-j4(1)8

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Summary:術後照射を行なったsuprasellar germinomaの症例で, 剖検により腫瘍組織の完全消失を確認した. 治療至適線量よりも少ない照射量にもかかわらず, 腫瘍組織の消失した理由として, germinomaの放射線感受性そのもののほかに, 合併した感染により出現したmacrophageによる腫瘍細胞の貪食の可能性をあげ, phagocyte動員によるgeminomaの免疫学的治療の可能性についてふれた. 「緒言」いわゆるtwo cell pattern pinealoma-germinomaは放射線感受性が高く, 照射療法のみで長期生存を示す例が多数報告されている1,2), しかし, 一部の部分剔除や生検例を除くと, 症例の多くは非手術例であり組織未確認のため厳密にいえば腫瘍の存在そのものに対する疑問, 照射療法の有効性の組織学的立証の困難さが残っている. われわれはsuprasellar germinomaの症例に術後照射を行ない, 不幸にして合併症で失ったが剖検で腫瘍組織の完全消失を確認しえた.
ISSN:0386-5924
DOI:10.11482/kmj-j4(1)8