がん患者を支えるために~がん哲学外来から

「はじめに」今から約1,300年前, 712年に編纂された『古事記』に登場する, 医療の原点を教えてくれる大国主命の出雲大社から, 8キロほど, 峠を越えて美しい日本海に面した小さな村が, 私の生まれ育った島根県出雲市大社町鵜峠である. 隣の鷺浦地区と合わせて, 鵜鷺と呼ばれている. 713年に編纂が命じられたという 『出雲国風土記』にも登場する歴史ある地である. 無医村であり, 幼年期, 熱を出しては母に背負われて, 峠のトンネルを通って, 隣の村 (鷺浦) の診療所に行った体験が, 今でも脳裏に焼き付いている. 私は, 人生3歳にして医者になろうと思ったようである. 思えば私の人生は, 小...

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Published in薬史学雑誌 Vol. 60; no. 1; pp. 6 - 10
Main Author 樋野 興夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本薬史学会 30.06.2025
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ISSN0285-2314
2435-7529
DOI10.34531/jjhp.60.1_6

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Summary:「はじめに」今から約1,300年前, 712年に編纂された『古事記』に登場する, 医療の原点を教えてくれる大国主命の出雲大社から, 8キロほど, 峠を越えて美しい日本海に面した小さな村が, 私の生まれ育った島根県出雲市大社町鵜峠である. 隣の鷺浦地区と合わせて, 鵜鷺と呼ばれている. 713年に編纂が命じられたという 『出雲国風土記』にも登場する歴史ある地である. 無医村であり, 幼年期, 熱を出しては母に背負われて, 峠のトンネルを通って, 隣の村 (鷺浦) の診療所に行った体験が, 今でも脳裏に焼き付いている. 私は, 人生3歳にして医者になろうと思ったようである. 思えば私の人生は, 小さな村での少年時代の原風景, 学生時代の読書遍歴 (内村鑑三 (1861-1930) ・新渡戸稲造 (1862-1933) ・南原繁 (1889-1974) ・矢内原忠雄 (1893-1961) ) であった.
ISSN:0285-2314
2435-7529
DOI:10.34531/jjhp.60.1_6