尿中イオン化カルシウムの研究 人工尿中イオン化カルシウムと燐酸カルシウムの沈澱に対するクエン酸の効果について

尿中イオン化カルシウム (Ca++) の基礎実験として人工尿Ca++を中心にイオン選択性電極による測定値とコンピューターによる計算値との比較検討を行なつた. 人工尿における実測Ca++の総カルシウムに対する割合はpH5.7で42%であり, 5名の非結石者症尿の平均では39% (平均pH6.0) であつた. 計算値では人工尿のそれはpH6.0では53%であつた. 実測値と計算値との差異についてはなを検討を要するが全般的には実測値と計算値は良く相関した. 人工尿成分の中ではクエン酸塩, 硫酸塩, 燐酸塩の順でCa++減少効果がみられた. 他の成分にもCa++減少効果がみられたがマグネシウムは例外的...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 71; no. 11; pp. 1364 - 1370
Main Authors 景山, 鎮一, 折笠, 精一, 桑原, 正明, 神部, 広一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 01.11.1980
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ISSN0021-5287
1884-7110
DOI10.5980/jpnjurol1928.71.11_1364

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Summary:尿中イオン化カルシウム (Ca++) の基礎実験として人工尿Ca++を中心にイオン選択性電極による測定値とコンピューターによる計算値との比較検討を行なつた. 人工尿における実測Ca++の総カルシウムに対する割合はpH5.7で42%であり, 5名の非結石者症尿の平均では39% (平均pH6.0) であつた. 計算値では人工尿のそれはpH6.0では53%であつた. 実測値と計算値との差異についてはなを検討を要するが全般的には実測値と計算値は良く相関した. 人工尿成分の中ではクエン酸塩, 硫酸塩, 燐酸塩の順でCa++減少効果がみられた. 他の成分にもCa++減少効果がみられたがマグネシウムは例外的にCa++を増加させた. カルシウムと燐酸を含む溶液では上pHを増加させると沈澱が生じるが, この時同時に急激なCa++減少がみられ沈澱をCa++の減少からとらえられることが判つた. 計算値からは沈澱に関する情報は得られなかつた. クエン酸塩のCa++減少効果はpHの増加に伴つて著明となりpH8ではほぼ最大値を示した. 尿中でカルシウムと complex をつくつているものの大半はクエン酸との complex であり, さらにクエン酸塩は燐酸カルシウムの沈澱をアルカリ側に移動させる効果のあることが確認された. 以上の実験結果から尿路結石に対するクエン酸の影響について論じた.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.71.11_1364