進行直腸癌に対する骨盤内臓器全摘術の意義と問題点

昭和51年11月より骨盤内腫瘍に対し骨盤内臓器全摘(P.E.)を9例経験したが, そのうち大腸癌は7例で, その内訳は直腸癌5例, 直腸癌局所再発1例, S状結腸癌1例であつた. 尿路変更は回腸導管で行つた. 術後合併症として骨盤内出血, 直腸縫合不全, 会陰部痩孔などがみられた. リンパ節郭清は内腸骨動脈を上殿動脈分岐部直下で切離し, 病巣とen blockに郭清できた. 郭清リンパ節の転移状況は上方リンパ節への転移率100%, 側方リンパ節への転移率80%であつた. 各症例のリンパ節転移状況は, 直腸癌症例では:n1(+)1例, n2(+)3例, n3(+)1例, 直腸癌局所再発例では鼠径...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療 Vol. 37; no. 8; pp. 778 - 782
Main Authors 岡部, 正人, 並川, 和男, 由布, 雅夫, 高城, 克義, 川村, 亮機, 宇都宮, 高賢, 西村, 令喜, 有田, 哲正, 浜田, 勢治, 吉田, 一成, 光野, 利英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 01.08.1983
医療同好会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:昭和51年11月より骨盤内腫瘍に対し骨盤内臓器全摘(P.E.)を9例経験したが, そのうち大腸癌は7例で, その内訳は直腸癌5例, 直腸癌局所再発1例, S状結腸癌1例であつた. 尿路変更は回腸導管で行つた. 術後合併症として骨盤内出血, 直腸縫合不全, 会陰部痩孔などがみられた. リンパ節郭清は内腸骨動脈を上殿動脈分岐部直下で切離し, 病巣とen blockに郭清できた. 郭清リンパ節の転移状況は上方リンパ節への転移率100%, 側方リンパ節への転移率80%であつた. 各症例のリンパ節転移状況は, 直腸癌症例では:n1(+)1例, n2(+)3例, n3(+)1例, 直腸癌局所再発例では鼠径リンパ節転移陽性, S状結腸癌例ではn1(+)であり, P. E. を行うことにより7例中5例が治癒切除となつた. 現在, 直腸癌2例とS状結腸癌1例の計3例が生存中で, それぞれ6年5ヵ月, 11ヵ月, 2年3ヵ月を経過している. 死亡例の平均生存期間は10.5ヵ月であつた. 以上, 進行直腸癌に対するP. E. の治療成績をとおしその意義と問題点について述べた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.37.778