うつ病による休職者が復職後の新規業務の立ち上げに寄与した事例 休職を転機としたキャリアの見直しに焦点を当てた支援

近年,労働者のキャリア自律が求められる社会情勢となっており,多くの研究の中でキャリア支援に関する効果が示されている。しかし,メンタルヘルス不調による休職者が職場復帰をするにあたってはキャリアに基づいた環境調整は前提とされていない。また,うつ病リワーク協会が示す復職支援プログラム(リワークプログラム)の構成要素にキャリア支援を展開することは含まれていない。本研究では,リワークプログラムに参加する休職者に対してキャリア支援を行った事例を紹介し,リワークプログラムという枠組みでのキャリア支援を実施することの有効性について検討した。本事例のクライエントは,休職という転機を通じて過去の働き方や自身のスキ...

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Bibliographic Details
Published inキャリア・カウンセリング研究 Vol. 26; no. 2; pp. 37 - 46
Main Authors 馬場, 洋介, 向阪, 俊佑
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本キャリア・カウンセリング学会 31.03.2025
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ISSN2436-4088
DOI10.34512/careercounseling.26.2_37

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Summary:近年,労働者のキャリア自律が求められる社会情勢となっており,多くの研究の中でキャリア支援に関する効果が示されている。しかし,メンタルヘルス不調による休職者が職場復帰をするにあたってはキャリアに基づいた環境調整は前提とされていない。また,うつ病リワーク協会が示す復職支援プログラム(リワークプログラム)の構成要素にキャリア支援を展開することは含まれていない。本研究では,リワークプログラムに参加する休職者に対してキャリア支援を行った事例を紹介し,リワークプログラムという枠組みでのキャリア支援を実施することの有効性について検討した。本事例のクライエントは,休職という転機を通じて過去の働き方や自身のスキルの棚卸を行い,自分に適した業務を具体化したことで,復職後に会社と労働者のニーズを合致させる新たな事業の立ち上げを実現することとなった。疑似的な職場環境の中で他の休職者や支援者に支えられながらメンタルとキャリアの両側面から支援が行われたことで本事例のような結果につながったこともうかがえ,本事例ではリワークプログラムにおけるキャリア支援の有効性の一端が示されたと言えよう。
ISSN:2436-4088
DOI:10.34512/careercounseling.26.2_37