高速液体クロマトグラフィーによる膵癌診断の試み

膵癌の診断法は近年急速に向上して微小癌もかなり発見されるまでになったが, なお現状は厳しく5年生存率は極めて不良である. これは, とりもなおさず早期の膵癌を発見するための有効で簡便な方法がないことによる. 今回, 私共は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を応用して膵癌をはじめ悪性腫瘍に特有な傾向が認められたので報告する. 膵癌の診断はERCP, 超音波, CTなどの画像診断の進歩により急速に向上してきたが, 現実に治療に繋がる症例は依然少なく, 成績は惨憺たるものである. これは現在行われている検査が主に精密検査に属するもので, スクリーニング検査としての簡便な方法が存在していないことに...

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Bibliographic Details
Published in医療 Vol. 37; no. 6; pp. 617 - 620
Main Authors 船木, 治雄, 広瀬, 脩二, 井上, 昇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 01.06.1983
医療同好会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.37.617

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Summary:膵癌の診断法は近年急速に向上して微小癌もかなり発見されるまでになったが, なお現状は厳しく5年生存率は極めて不良である. これは, とりもなおさず早期の膵癌を発見するための有効で簡便な方法がないことによる. 今回, 私共は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を応用して膵癌をはじめ悪性腫瘍に特有な傾向が認められたので報告する. 膵癌の診断はERCP, 超音波, CTなどの画像診断の進歩により急速に向上してきたが, 現実に治療に繋がる症例は依然少なく, 成績は惨憺たるものである. これは現在行われている検査が主に精密検査に属するもので, スクリーニング検査としての簡便な方法が存在していないことに起因していると考えられる. そこで一次チエツクとなる有用な生化学的検査が待たれるわけであるが, 私共は今回高速液体クロマトグラフィー(略して「HPLC」)を応用して膵癌を中心にスクリーニング出来る方法を検討した. 高速液体クロマトグラフィーはもともと液体クロマトグラフィー(略して「LC」)から進歩改良されたものであるが, 当初は長時間を要し, また再現性が不良であった1).
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.37.617