対麻痺患者の歩行能力の予測因子としての大腿四頭筋motor time

筋力低下の判定は,障害部位や疾患の診断の補助手段になると同時に,能力低下を予測させるものと考えられている.脊髄障害患者の歩行能力を予測する因子として,膝伸展の等尺性随意最大筋力(MVC)と急速な膝伸展運動開始時の筋張力発生の時間(motor time: MT)のいずれがより有用か,臨床神経学的徴候がいかに関与しているかについて多変量解析により検討した. その結果,脊髄障害患者の歩行能力を予測させる因子としてMT,痙性が有意な変数であり,MVCは有意でなかった.中枢神経系障害者の歩行能力低下は等尺性随意最大筋力よりも,筋張力発生の速さの障害にその本来的な原因があると考えられた....

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 22; no. 3; pp. 127 - 130
Main Authors 佐直, 信彦, 中村, 隆一
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本リハビリテーション医学会 01.05.1985
日本リハビリテーション医学会
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Summary:筋力低下の判定は,障害部位や疾患の診断の補助手段になると同時に,能力低下を予測させるものと考えられている.脊髄障害患者の歩行能力を予測する因子として,膝伸展の等尺性随意最大筋力(MVC)と急速な膝伸展運動開始時の筋張力発生の時間(motor time: MT)のいずれがより有用か,臨床神経学的徴候がいかに関与しているかについて多変量解析により検討した. その結果,脊髄障害患者の歩行能力を予測させる因子としてMT,痙性が有意な変数であり,MVCは有意でなかった.中枢神経系障害者の歩行能力低下は等尺性随意最大筋力よりも,筋張力発生の速さの障害にその本来的な原因があると考えられた.
ISSN:0034-351X
1880-778X
DOI:10.2490/jjrm1963.22.127