地域在宅高齢者における認知機能低下者の生活機能の評価 本人と家族の評価における乖離の関連要因
在宅高齢者の生活機能をアセスメントする際, 高齢者本人による回答の信頼性と, それへの認知機能レベルの影響を検討する必要がある. 新潟県Y町在住の65歳以上全高齢者1,673名に対し, 2000年11月に Mini Mental State Examination (MMSE) を含む面接調査を実施した (一次調査). 1,527名 (91.3%) が応答し, うち各年齢別MMSE得点の平均-1SD以下を認知機能低下者 (371名) とした. 1年後に入院・入所, 死亡等を除く332名に対し二次調査の案内を発送し158名が希望し, 2001年11月に訪問面接調査を実施した (二次調査). 本人...
Saved in:
Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 40; no. 5; pp. 487 - 496 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
25.09.2003
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 在宅高齢者の生活機能をアセスメントする際, 高齢者本人による回答の信頼性と, それへの認知機能レベルの影響を検討する必要がある. 新潟県Y町在住の65歳以上全高齢者1,673名に対し, 2000年11月に Mini Mental State Examination (MMSE) を含む面接調査を実施した (一次調査). 1,527名 (91.3%) が応答し, うち各年齢別MMSE得点の平均-1SD以下を認知機能低下者 (371名) とした. 1年後に入院・入所, 死亡等を除く332名に対し二次調査の案内を発送し158名が希望し, 2001年11月に訪問面接調査を実施した (二次調査). 本人と家族に対し, 別室にてそれぞれ生活機能 (老研式活動能力指標) 等を聞き取り, 再度MMSEを実施した. 痴呆の重症度については Clinical Dementia Rating (CDR) を用いて評価した. 二次調査でのMMSE得点が一次調査で求めた各年齢別MMSE得点の平均-1SD以下かつ21点以上を二次軽度低下者 (n=54), MMSE得点がそれ以上かつCDR=0の者を二次健常者 (n=29) とし, また20点以下を二次重度低下者 (n=53) と分類した. その結果, 老研式活動能力指標の総得点と下位尺度の手段的自立において, 二次重度低下者は他の二群に比べて有意に自己評価が高かった. 多重ロジスティック回帰分析を用いて, 本人と家族の評価の乖離に関連する要因を検討したところ, 本人評価が過大評価である場合には,「対象者の記憶・思考力に対し家族が抱く愁訴」「回答者が配偶者」「高学歴」が有意な正の要因として, 過小評価の場合には「高年齢」が正の要因として選ばれた. 高齢者の生活機能について本人と家族の評価が乖離することに認知機能レベルは独立した要因としては寄与せず, むしろ, 家族が抱く愁訴や介護の有無, 既往歴等の影響を受けやすいことが示された. |
---|---|
ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.40.487 |