老年者男性における高血圧と耐糖能異常の動脈硬化への影響 PWVを用いた検討-端野・壮瞥町研究
高血圧, 糖尿病は動脈硬化の危険因子であり, その合併は動脈硬化進展や動脈硬化性疾患発症に相乗的に作用する. 本研究では老年者における高血圧と糖尿病の合併と Pulse wave velocity (以下PWVと略す) で評価した動脈硬化の関連を検討した. 住民検診受診者で60歳以上の男性186名 (平均年齢68.8±5.8歳) を対象にPWV, 収縮期血圧 (SBP), 拡張期血圧 (DBP), body mass index (BMI), 空腹時血糖 (FBS), 総コレステロール (TC), トリグリセリド (TG), HDLコレステロール (HDL) を測定した. 米国糖尿病協会 (A...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 40; no. 6; pp. 610 - 614 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
25.11.2003
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Subjects | |
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ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.40.610 |
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Summary: | 高血圧, 糖尿病は動脈硬化の危険因子であり, その合併は動脈硬化進展や動脈硬化性疾患発症に相乗的に作用する. 本研究では老年者における高血圧と糖尿病の合併と Pulse wave velocity (以下PWVと略す) で評価した動脈硬化の関連を検討した. 住民検診受診者で60歳以上の男性186名 (平均年齢68.8±5.8歳) を対象にPWV, 収縮期血圧 (SBP), 拡張期血圧 (DBP), body mass index (BMI), 空腹時血糖 (FBS), 総コレステロール (TC), トリグリセリド (TG), HDLコレステロール (HDL) を測定した. 米国糖尿病協会 (ADA) の空腹時血糖値による診断基準に基づき, 正常 (NGT) 群 (FBS<110mg/dl), IFG (IFG) 群 (110≦FBS<126), 糖尿病群 (DM) 群 (FBS≧126または糖尿病治療者) の三群に分け, JNG-VI, WHO/ISH の診断基準により, 収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上または降圧薬服用者を高血圧 (HT) 群, それ以外を正常血圧 (NT) 群に分類した. PWVはSBP, FBSと有意な正相関を示した (それぞれr=0.499, r=0.300). 耐糖能群別に高血圧がPWVに与える影響を検討すると, それぞれHT群はNT群に比べ有意に高値を示した (いずれもp<0.01). またHT群では血糖高値群でPWVの上昇を認め, DM群はNGT群に比較して有意に (p=0.002) PWVは高値であった. PWVを目的変数として重回帰分析を行うとSBP, FBSが有意な説明変数として採択された. 老年者でも軽度耐糖能障害と高血圧が合併する場合には, 動脈硬化疾患発症を予防するためにより厳重な管理が必要であると考えられる. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.40.610 |