口底部腫瘍切除後の嚥下障害に対し, 上顎シーネタイプ嚥下補助装置が有効であった1症例
口底癌患者の術後に生じた摂食・嚥下障害に対し, 上顎シーネタイプの嚥下補助装置が有効であった1症例を経験した.症例, 59歳男性.口底癌 (T2N2cM0) のため当科に入院し, 切除術を施行した.術直後より摂食・嚥下・発音障害が認められた.VF検査から, これら障害の原因が, 舌の可動域減少と体積減少にあると推測された.このため, 摂食・嚥下時に, 舌が口蓋に接触すべきところ, 逆にスペースが残り, 嚥下時に食塊を咽頭方向へ移送しにくい事が原因と考えられた.以上から, 本症例では口腔期における摂食・嚥下障害と診断した.対策としては, 障害となるスペースを消失させる事を考え, これを補うような...
Saved in:
Published in | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 54; no. 1; pp. 21 - 26 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
北関東医学会
01.02.2004
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1343-2826 1881-1191 |
DOI | 10.2974/kmj.54.21 |
Cover
Summary: | 口底癌患者の術後に生じた摂食・嚥下障害に対し, 上顎シーネタイプの嚥下補助装置が有効であった1症例を経験した.症例, 59歳男性.口底癌 (T2N2cM0) のため当科に入院し, 切除術を施行した.術直後より摂食・嚥下・発音障害が認められた.VF検査から, これら障害の原因が, 舌の可動域減少と体積減少にあると推測された.このため, 摂食・嚥下時に, 舌が口蓋に接触すべきところ, 逆にスペースが残り, 嚥下時に食塊を咽頭方向へ移送しにくい事が原因と考えられた.以上から, 本症例では口腔期における摂食・嚥下障害と診断した.対策としては, 障害となるスペースを消失させる事を考え, これを補うような口蓋部の形態を考えた上顎シーネを患者に装着させた.シーネの装着により摂食・嚥下障害は自他覚的共に改善され, 原疾患の治療も終了したため, 術後2ヶ月, 経口摂取開始後1ヶ月で当科退院となった. |
---|---|
ISSN: | 1343-2826 1881-1191 |
DOI: | 10.2974/kmj.54.21 |