妊娠時にみられた急性肝不全の1例

症例は30歳主婦.妊娠31週から食思不振,全身倦怠感が出現し,妊娠中毒症の疑いで当院産婦人科に昭科56年2月12日に入院した. 入院時GOT 497mIU, GOT 506mIU, LDH 589mIU, T. Bil 3.9mg/dl, ALP 34.4K.U, LAP3,168GR.U, PT時間37%と肝機能異常を認め,血清クレアチニン2.7mg/dl, WBC 13,000/mm3であった.2月15日に意識混濁が出現し,出血傾向,肝濁音界の縮小もみられたが,17日胎児を死産.20日頃から意識も清明となり血液学的肝機能異常も軽快した.3月4日腹腔鏡下肝生検を行った.当科初診時は妊娠性急性...

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Published in肝臓 Vol. 25; no. 9; pp. 1175 - 1179
Main Authors 中野, 正美, 村木, 俊雄, 福住, 直由, 朝倉, 秀樹, 青柳, 利雄, 松本, 洋子, 斉藤, 昌三, 山内, 格, 森, 俊三, 伊藤, 正高, 高橋, 信一, 鈴木, 正彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1984
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.25.1175

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Summary:症例は30歳主婦.妊娠31週から食思不振,全身倦怠感が出現し,妊娠中毒症の疑いで当院産婦人科に昭科56年2月12日に入院した. 入院時GOT 497mIU, GOT 506mIU, LDH 589mIU, T. Bil 3.9mg/dl, ALP 34.4K.U, LAP3,168GR.U, PT時間37%と肝機能異常を認め,血清クレアチニン2.7mg/dl, WBC 13,000/mm3であった.2月15日に意識混濁が出現し,出血傾向,肝濁音界の縮小もみられたが,17日胎児を死産.20日頃から意識も清明となり血液学的肝機能異常も軽快した.3月4日腹腔鏡下肝生検を行った.当科初診時は妊娠性急性脂肪肝も疑ったが,生検組織像からは急性ウイルス性肝炎の所見であった. 妊娠後期のウイルス性肝炎は,ときに重症化することがあるので注意を要すると思われる.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.25.1175