小児真珠腫の手術方針と術後成績

小児真珠腫の初回手術例34耳では, 後壁保存16耳で再発あり10耳, 6耳, 後壁除去18耳で再発14耳, あり4耳であった。耳小骨連鎖再建をおこなった32耳のうち成功の基準に入ったのは28耳 (88%) であった。小児真珠腫の手術的治療に当っては, 次のことに留意すべきであ。 1) 少なくとも一側の会話音域の社会適応レベルの聴力の確保を得ることを前提に, 耳小骨周囲の真珠腫の占拠部位に応じてどのような対処をするか議論すべきである。一側あるいは両側性真珠腫で反対側の聴力に障害ある場合は最小限の手術侵襲に止あるべきである。 2) 対側が正常聴力症例では, 耳小骨周囲とくにアブミ骨を取り巻く真珠腫...

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Published in臨床耳科 Vol. 15; no. 1; pp. 15 - 20
Main Authors 太田, 文彦, 蔦, 佳明, 村田, 清高, 老木, 浩之
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本耳科学会 1988
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ISSN1884-5800
DOI10.11289/otoljpn1974.15.15

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Summary:小児真珠腫の初回手術例34耳では, 後壁保存16耳で再発あり10耳, 6耳, 後壁除去18耳で再発14耳, あり4耳であった。耳小骨連鎖再建をおこなった32耳のうち成功の基準に入ったのは28耳 (88%) であった。小児真珠腫の手術的治療に当っては, 次のことに留意すべきであ。 1) 少なくとも一側の会話音域の社会適応レベルの聴力の確保を得ることを前提に, 耳小骨周囲の真珠腫の占拠部位に応じてどのような対処をするか議論すべきである。一側あるいは両側性真珠腫で反対側の聴力に障害ある場合は最小限の手術侵襲に止あるべきである。 2) 対側が正常聴力症例では, 耳小骨周囲とくにアブミ骨を取り巻く真珠腫や死角にはいる真珠腫の処置に, 段階手術, open methodなどのような慎重な処置もやむをえない。術後聴力も期待できる。 3) 真珠腫の摘出にあたっては外耳道後壁を除去する方が再発は少ない。
ISSN:1884-5800
DOI:10.11289/otoljpn1974.15.15