初乳および新生子豚血清の遊離アミノ酸の動態

新生期の子豚の栄養生理を把握する一環として, 豚乳および子豚血清の遊離アミノ酸の動態を分娩直後から1週間後にかけて調査した。 初乳の遊離アミノ酸は, Taurine が分娩24時間後まで大部分を占め, 全期間をとおして最も多く存在し, 80μmol/dl (脱脂乳) 以上で推移した。ほとんどのアミノ酸は, 分娩24時間後までわずかな量しか遊離の状態では存在せず, Methionine と Cystine は検出できなかった。しかし, 48時間以降になると非必須アミノ酸, 特に Glycine (Gly), Alanine (Ala), Aspartate, Glutamate および Glut...

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Published in日本養豚学会誌 Vol. 32; no. 3; pp. 193 - 199
Main Authors 岩澤, 季之, 楢崎, 昇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本養豚学会 1995
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ISSN0913-882X
1881-655X
DOI10.5938/youton.32.193

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Summary:新生期の子豚の栄養生理を把握する一環として, 豚乳および子豚血清の遊離アミノ酸の動態を分娩直後から1週間後にかけて調査した。 初乳の遊離アミノ酸は, Taurine が分娩24時間後まで大部分を占め, 全期間をとおして最も多く存在し, 80μmol/dl (脱脂乳) 以上で推移した。ほとんどのアミノ酸は, 分娩24時間後までわずかな量しか遊離の状態では存在せず, Methionine と Cystine は検出できなかった。しかし, 48時間以降になると非必須アミノ酸, 特に Glycine (Gly), Alanine (Ala), Aspartate, Glutamate および Glutamine が直線的に増加した。このため, 非必須アミノ酸総量 (NEAA) は分娩直後の15.64μmol/dl (脱脂乳) から1週間後には356.49μmol/dl (脱脂乳) と直線的に増加した。 子豚の血清遊離アミノ酸は, 出生直後ではGlyとAlaが最も多く存在し, アミノ酸総量の40%を占めた。また, 初乳中に遊離の必須および非必須アミノ酸がわずかな量しか存在しなかったにもかかわらず, 出生12時間後では血清の遊離の必須および非必須アミノ酸が著しく増加し, 分娩直後に比べて Tyrosine が8倍, Proline (Pro) が5倍の値を示した。Proは12時間から72時間後まで全てのアミノ酸で最も多く存在した。従って, 子豚の血清遊離アミノ酸は, 初乳の遊離アミノ酸の影響よりもペプチドや乳蛋白質の代謝の影響を強く受けていると推察される。
ISSN:0913-882X
1881-655X
DOI:10.5938/youton.32.193