全身性エリテマトーデスにおける抗核因子の尿中排泄

血清中抗核因子が陽性のSLE症例を蛋白尿の有無によつて2群にわけて,それぞれの尿中抗核因子排泄量を定量的に比較することを試みた.抗核因子の検索は血清,尿とも蛍光抗体間接法を用いた.その結果,蛋白尿を伴なうSLE,すなわちlupus nephritisの例では蛋白尿を欠くSLEに比べて大量の抗核因子が尿中に排泄されることが見出された. lupus nephritisを伴なうSLEでは血清中抗核因子のstainig titerの低い例が多いが,これは上述の成績を考えればきわめて説明しやすい.一方,蛋白尿を欠くSLEでは血清中抗核因子のstaining titerが一定の値(われわれの方法では28倍...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 56; no. 9; pp. 1015 - 1020
Main Authors 長沢, 俊彦, 柴田, 整一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 1967
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Summary:血清中抗核因子が陽性のSLE症例を蛋白尿の有無によつて2群にわけて,それぞれの尿中抗核因子排泄量を定量的に比較することを試みた.抗核因子の検索は血清,尿とも蛍光抗体間接法を用いた.その結果,蛋白尿を伴なうSLE,すなわちlupus nephritisの例では蛋白尿を欠くSLEに比べて大量の抗核因子が尿中に排泄されることが見出された. lupus nephritisを伴なうSLEでは血清中抗核因子のstainig titerの低い例が多いが,これは上述の成績を考えればきわめて説明しやすい.一方,蛋白尿を欠くSLEでは血清中抗核因子のstaining titerが一定の値(われわれの方法では28倍)以上を呈する場合にのみ尿中抗核因子が陽性となることも認められた. lupus nephritisの群の抗核因子尿中排泄量と腎機能ないし腎生検所見との間には必ずしも密接な相関は見出せなかつたが,今回われわれのえた成績はlupus nephritisの成因を考えてゆく上にきわめて示唆に富む所見と思われる.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.56.1015