後期高齢者の質問票に基づくフレイル評価の試み―項目反応理論による予備的解析
目的:後期高齢者の質問票を点数化し,妥当性の確認とフレイル判別のカットオフ値を明らかにする.方法:65歳以上の高齢者2,586名を対象とする横断調査を行った.後期高齢者を対象に,点数化した後期高齢者の質問票の各項目の項目特性を,項目反応理論(Item Response Theory;IRT)を用いて検討した.IRTに適合したモデルに基づく合計点を算出し,フレイルを判別するReceiver Operating Characteristic(ROC)解析を行い,カットオフ値を検討した.また,前期高齢者を対象に同一のカットオフ値の検証をした.結果:1,680名より回答を得た.欠損値のなかった後期高齢...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 59; no. 2; pp. 169 - 177 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
25.04.2022
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Subjects | |
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ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.59.169 |
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Summary: | 目的:後期高齢者の質問票を点数化し,妥当性の確認とフレイル判別のカットオフ値を明らかにする.方法:65歳以上の高齢者2,586名を対象とする横断調査を行った.後期高齢者を対象に,点数化した後期高齢者の質問票の各項目の項目特性を,項目反応理論(Item Response Theory;IRT)を用いて検討した.IRTに適合したモデルに基づく合計点を算出し,フレイルを判別するReceiver Operating Characteristic(ROC)解析を行い,カットオフ値を検討した.また,前期高齢者を対象に同一のカットオフ値の検証をした.結果:1,680名より回答を得た.欠損値のなかった後期高齢者975名,前期高齢者421名を解析対象とした.後期高齢者の質問票の全項目を0または1点で採点する方法がIRTによるモデルに適合した.項目特性の識別力と困難度は,全項目が基準を満たした.ROC解析の結果,AUCは0.871(95%confidence interval[CI]:0.842~0.899)であり,4点以上をフレイル判別のカットオフ値とした.感度は0.811,特異度は0.766,陽性尤度比は3.469,陰性尤度比は0.247,精度は0.772であった.前期高齢者を対象としたAUCは0.874(95%CI:0.820~0.927)であった.カットオフ値4点の感度は0.741,特異度は0.817,陽性尤度比は4.053,陰性尤度比は0.317,精度は0.812であった.結論:後期高齢者の質問票の各項目を0または1点で採点し,合計0~15点とする点数化の妥当性が確認された.尤度比がやや不十分であったが,フレイル判別のカットオフ値を4点とする解釈可能性が示された.また,前期高齢者でも後期高齢者の質問票を用いてフレイルを判別する交差妥当性が示された. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.59.169 |