咀嚼運動から捉えた咬合面形態

「緒言」咬合に関する問題は歯科界で最も基本的な問題である. 過去において, 数多くの咬合論が述べられ臨床応用されたが, 理論通りにできる症例とできない症例を経験してきている. また, 顎関節症あるいはtemporo mandibular disorder(以下TMDと略す)が咬合に関係しているか否かについてはいまだに論議されているが, 矯正治療を受けたのちにTMD症状が多いという統計学的研究が報告されていたり1), 一方では, 咬合と全身機能とのかかわりが多くの臨床家の関心事であり, 数多くの症例のTMD症状が咬合の治療を行うことでおさまり, 全身機能がよみがえっていくという報告もある2)....

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 55; no. 1; pp. 105 - 122
Main Authors 筒井, 昌秀, 筒井, 照子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 25.02.2001
Kyushu Dental Society
Subjects
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ISSN0368-6833
1880-8719
DOI10.2504/kds.55.105

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Summary:「緒言」咬合に関する問題は歯科界で最も基本的な問題である. 過去において, 数多くの咬合論が述べられ臨床応用されたが, 理論通りにできる症例とできない症例を経験してきている. また, 顎関節症あるいはtemporo mandibular disorder(以下TMDと略す)が咬合に関係しているか否かについてはいまだに論議されているが, 矯正治療を受けたのちにTMD症状が多いという統計学的研究が報告されていたり1), 一方では, 咬合と全身機能とのかかわりが多くの臨床家の関心事であり, 数多くの症例のTMD症状が咬合の治療を行うことでおさまり, 全身機能がよみがえっていくという報告もある2). TMDには種々の原因が考えられるが, 従来の咬合論の中で対応しきれない生体としての別の見方が不足していたからであろうと考えられる. そのひとつは, 従来の咬合論が生体を咬合器に移し変え, centric relation(CR)とinter cuspal position(ICP)との関係と限界運動路の分析を中心に考えてきたことにある3)と考えられる. 一般に咀嚼運動路は限界運動路とは異なり, 後者がICPを起点として歯牙面を前, 側方(詳細に言えば後方要素を含む)へ滑走するのに対して, 咀嚼運動路は後, 側方, 下方へ動き, 閉口時には下, 側方, 後方からICPへ復位する.
ISSN:0368-6833
1880-8719
DOI:10.2504/kds.55.105