カルタップの殺虫効力,特にニカメイチュウ防除薬剤としての特性

Nereistoxin(イソメ毒)の一誘導体である1, 3-bis (carbamoylthio)-2-(N, N-dimethylamino) propaneとその塩酸塩(一般名カルタップ(cartap),商品名パダン®)の殺虫効力を試験して以下の成績をえた。 1) 殺虫試験の結果,これら化合物はニカメイチュウ,モンシロチョウなどのりん翅目幼虫,ニジュウヤホシテントウ,アズキゾウムシ,ダイズアブラムシおよびツマグロヨコバイに相当高い殺虫力を有することがわかった。イエバエ成虫に注射した場合は殺虫力があるが,局所施用では効力がなかった。カンザワハダニに対する殺虫力は認められなかった。ハスモンヨト...

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Published in日本応用動物昆虫学会誌 Vol. 11; no. 3; pp. 125 - 134
Main Authors 坂井, 道彦, 佐藤, 安夫, 加藤, 正幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本応用動物昆虫学会 1967
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Summary:Nereistoxin(イソメ毒)の一誘導体である1, 3-bis (carbamoylthio)-2-(N, N-dimethylamino) propaneとその塩酸塩(一般名カルタップ(cartap),商品名パダン®)の殺虫効力を試験して以下の成績をえた。 1) 殺虫試験の結果,これら化合物はニカメイチュウ,モンシロチョウなどのりん翅目幼虫,ニジュウヤホシテントウ,アズキゾウムシ,ダイズアブラムシおよびツマグロヨコバイに相当高い殺虫力を有することがわかった。イエバエ成虫に注射した場合は殺虫力があるが,局所施用では効力がなかった。カンザワハダニに対する殺虫力は認められなかった。ハスモンヨトウとミツバチに対する殺虫力はやや低かった。 2) ポット試験でニカメイチュウ食入幼虫に対してこれら化合物の0.025%以上を含む液,ならびに1%および2%粉剤は,高い殺虫力を示した。また,幼虫食入防止効力の持続性は,カルタップが化合物IIIよりすぐれている。カルタップの効力持続性はスミチオン,バイジットおよびエルサンより良好であったが,EPNよりやや劣った。 3) 水稲に散布したカルタップの耐雨性は良好であり,また日光に対してもかなり安定であることが確かめられた。 4) カルタップは水稲葉鞘外部から茎内に浸透して,食入中のニカメイチュウを殺すことが認められる。5) 国内数か所より採集したニカメイチュウのカルタップに対する感受性は,採集地間で差がないと思われる。 6) カルタップ50%水溶剤1,000倍液の散布でミカンハモグリガの防除が可能であった。 7) カルタップの哺乳動物および魚類に対する毒性は比較的低かった。
ISSN:0021-4914
1347-6068
DOI:10.1303/jjaez.11.125