急性重症型肝炎像にて発症した抗核抗体陰性, 抗平滑筋抗体陽性の自己免疫性肝炎の一例

急性重症型肝炎像にて発症した抗核抗体 (ANA) 陰性, 抗平滑筋抗体 (SMA) 陽性の自己免疫性肝炎 (AIH) の一例を経験したので報告する. 79歳女性. 平成8年1月黄疸, 肝機能異常にて入院. 輸血歴, 飲酒歴. 内服薬のDLSTは陰性, 肝炎ウイルスマーカーは陰性であった. 入院一週間後, T-Bil 19.6mg/dl, PT49%と悪化し腹水も出現した. ANA陰性であったがSMA陽性よりAIHを考えステロイド療法を開始した. その後肝機能及び臨床症状の著明な改善を認めた. 肝生検は慢性肝炎活動型でAIHに合致していた. 本例は従来の厚生省の診断基準では合致し得ないが, 国際...

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Published in肝臓 Vol. 39; no. 4; pp. 251 - 254
Main Authors 大江, さつき, 野田, 修造, 藤見, 佳代子, 北田, 学利, 作田, 茂, 田村, 和子, 黒島, 俊夫, 椿尾, 忠博, 那須, 輝史, 吉原, 渡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1998
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Summary:急性重症型肝炎像にて発症した抗核抗体 (ANA) 陰性, 抗平滑筋抗体 (SMA) 陽性の自己免疫性肝炎 (AIH) の一例を経験したので報告する. 79歳女性. 平成8年1月黄疸, 肝機能異常にて入院. 輸血歴, 飲酒歴. 内服薬のDLSTは陰性, 肝炎ウイルスマーカーは陰性であった. 入院一週間後, T-Bil 19.6mg/dl, PT49%と悪化し腹水も出現した. ANA陰性であったがSMA陽性よりAIHを考えステロイド療法を開始した. その後肝機能及び臨床症状の著明な改善を認めた. 肝生検は慢性肝炎活動型でAIHに合致していた. 本例は従来の厚生省の診断基準では合致し得ないが, 国際診断基準と, さらにその後改訂された厚生省の診断基準ではAIHに合致した. AIHの急性発症はまれとされ, 一旦劇症化すればその予後は極めて不良である. 本例は急性重症型を呈したが早期診断により治療し得た稀な一例と考え, 文献的考察を加え報告する.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.39.251