出血性脳梗塞の臨床的検討

血性髄液, 脳血管写およびCT所見などにより, 臨床的に診断した大脳半球の出血性梗塞41例について, その臨床的特徴を検討した.1) 出血性梗塞は脳塞栓によると考えられる突発完成型発症例に起り易く, 皮質症状を高率に伴っていた.また項部硬直が過半数にみられた.2) 意識障害は出血性梗塞で高率にみられたが, 発症2~3日後に増悪する例が多かった.3) 出血性梗塞の発症当日の血圧は貧血性梗塞と差がなかったが, 後者では経過と共に低下を示すのに対し, 前者では発症2~3日後に最高値を示した.4) 出血性梗塞の機能予後は貧血性梗塞に比し不良で, 死亡率は明らかに高かった.5) 脳血管写上, 出血性梗塞...

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Published in脳卒中 Vol. 1; no. 4; pp. 351 - 359
Main Authors 小林, 祥泰, 田崎, 義昭, 神田, 直, 古橋, 紀久, 林, 英人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 1979
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Summary:血性髄液, 脳血管写およびCT所見などにより, 臨床的に診断した大脳半球の出血性梗塞41例について, その臨床的特徴を検討した.1) 出血性梗塞は脳塞栓によると考えられる突発完成型発症例に起り易く, 皮質症状を高率に伴っていた.また項部硬直が過半数にみられた.2) 意識障害は出血性梗塞で高率にみられたが, 発症2~3日後に増悪する例が多かった.3) 出血性梗塞の発症当日の血圧は貧血性梗塞と差がなかったが, 後者では経過と共に低下を示すのに対し, 前者では発症2~3日後に最高値を示した.4) 出血性梗塞の機能予後は貧血性梗塞に比し不良で, 死亡率は明らかに高かった.5) 脳血管写上, 出血性梗塞は主幹脳動脈および分枝の閉塞ならびに再開通, residual stenosis, capillary blushおよびmass signが貧血性梗塞に比し高率にみられた.6) CTL上広汎な低吸収域を示すものが多く, mass signが高率にみられた.高吸収域の散在は26%に認められた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.1.351