糖原病Ia型に胆管細胞癌を合併した1例

症例は38歳, 男性. 10歳時, 他院にて糖原病と診断された. 平成6年5月12日, 尿路結石発作のため入院. 保存的治療により症状は消失したが, 腹部超音波検査にて肝腫大と両葉の多発性腫瘍を認めた. 血液検査では高乳酸, 高尿酸, 高ピルビン酸, 高脂血症を認め, 腫瘍マーカーはCA19-9が軽度上昇していた. 画像上, 腫瘍はいずれも低エコーで, 造影CTの早期に辺縁造影効果あり. 逆行性膵胆管造影では, 胆嚢, 肝内胆管第一分枝~総胆管および膵管に異常. 他臓器に腫瘍を認めず, 原発性肝腫瘍と考えられた. 腫瘍生検を施行し, 胆管細胞癌と診断した. 非腫瘍部肝組織のGlucose-6-...

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Published in肝臓 Vol. 38; no. 8; pp. 514 - 520
Main Authors 中村, 俊文, 玉腰, 勝敏, 竹平, 安則, 室久, 敏三郎, 北川, 陸生, 山田, 正美, 松下, 雅広, 川村, 欣也, 高木, 正博, 小澤, 享史, 河崎, 恒久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1997
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Summary:症例は38歳, 男性. 10歳時, 他院にて糖原病と診断された. 平成6年5月12日, 尿路結石発作のため入院. 保存的治療により症状は消失したが, 腹部超音波検査にて肝腫大と両葉の多発性腫瘍を認めた. 血液検査では高乳酸, 高尿酸, 高ピルビン酸, 高脂血症を認め, 腫瘍マーカーはCA19-9が軽度上昇していた. 画像上, 腫瘍はいずれも低エコーで, 造影CTの早期に辺縁造影効果あり. 逆行性膵胆管造影では, 胆嚢, 肝内胆管第一分枝~総胆管および膵管に異常. 他臓器に腫瘍を認めず, 原発性肝腫瘍と考えられた. 腫瘍生検を施行し, 胆管細胞癌と診断した. 非腫瘍部肝組織のGlucose-6-phosphatase活性は低下しており糖原病Ia型であった. 化学療法を施行したが, 癌性腹膜炎を併発し, 当院受診後1年10カ月で死亡した. 糖原病I型は, ときに腺腫の合併を認めることは知られているが, 胆管細胞癌が合併した報告は本症例が最初である.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.38.514