救急処置の基本的手技 10. 挿管困難症の対策

「挿管困難症」筋弛緩薬の広範な使用によつて, 挿管に関する技巧的な手技の重要性がさほど問題にならなくなつた今日であるが, 経口的気管内挿管が極めて困難な症例は存在する. その代表例を表1に示した. 未熟なものが挿管困難であつたからといつて, 挿管困難症であるとはいえないが, 一般的には通常の喉頭鏡では喉頭展開が困難な場合といつてもよいであろう. 「挿管困難の原因」上・下気道に狭窄および偏位がなくとも喉頭展開が困難な場合がある. 挿管を必要とする患者を場合に, 喉頭展開が困難であるか否かの判断には以下の事項が目安となる. 1. 開口制限 2. 顎が小さい 3. 舌が大きい 4. 頸部の伸展制限...

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Published in医療 Vol. 43; no. 10; pp. 1098 - 1099
Main Authors 永井, 一成, 榎本, 尚美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1989
国立医療学会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.43.1098

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Summary:「挿管困難症」筋弛緩薬の広範な使用によつて, 挿管に関する技巧的な手技の重要性がさほど問題にならなくなつた今日であるが, 経口的気管内挿管が極めて困難な症例は存在する. その代表例を表1に示した. 未熟なものが挿管困難であつたからといつて, 挿管困難症であるとはいえないが, 一般的には通常の喉頭鏡では喉頭展開が困難な場合といつてもよいであろう. 「挿管困難の原因」上・下気道に狭窄および偏位がなくとも喉頭展開が困難な場合がある. 挿管を必要とする患者を場合に, 喉頭展開が困難であるか否かの判断には以下の事項が目安となる. 1. 開口制限 2. 顎が小さい 3. 舌が大きい 4. 頸部の伸展制限 5. 下顎骨骨折「気管内挿管困難症の対策」通常の気管内挿管法, すなわちマツキントツシユ型の喉頭鏡などでは喉頭展開が困難な場合の気管内挿管法としては, 第一に患者の枕を高くしてみるなどの方法を試みるが, これでも不可能なときには, 1. 意識下盲目的経鼻挿管 2. 麻酔下盲目的経鼻挿管 3. フアイバースコープによる挿管 4. 強彎フアイバー喉頭鏡による挿管 5. 逆行性盲目的挿管 6. 気管切開による挿管などによる気管内挿管が必要となる.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.43.1098