慢性関節リウマチに見られた肝のNodular Regenerative Hyperplasiaの一剖検例

63歳女性で,死亡前約13年間リウマチ様関節炎に罹患し,その間ステロイド療法,金治療(約2年間),D-ペニシラミン投与を受けたが,末期に肝脾腫,浮腫,貧血が生じ,最後は呼吸器感染で死亡した症例である.経過中肝機能検査に異常があり,肝硬変症の疑いも持たれた.剖検で諸関節はリウマチ様関節炎の為に変形し肝脾腫を認めた.肝では径8mm以下の灰白調の円形小結節が多発性に存在していた.光顕では,既存の小葉の一部が結節性に肥大し,それに接する周囲の肝細胞索を圧迫し萎縮させていた.夫々の結節には結合織性の被膜は全く存在せず,線維化も伴っていなかった.この様な所見は従来報告されている,いわゆる“Nodular...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in肝臓 Vol. 21; no. 4; pp. 472 - 477
Main Authors 池田, 洋, 花之内, 基夫, 伊藤, 元
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1980
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.21.472

Cover

More Information
Summary:63歳女性で,死亡前約13年間リウマチ様関節炎に罹患し,その間ステロイド療法,金治療(約2年間),D-ペニシラミン投与を受けたが,末期に肝脾腫,浮腫,貧血が生じ,最後は呼吸器感染で死亡した症例である.経過中肝機能検査に異常があり,肝硬変症の疑いも持たれた.剖検で諸関節はリウマチ様関節炎の為に変形し肝脾腫を認めた.肝では径8mm以下の灰白調の円形小結節が多発性に存在していた.光顕では,既存の小葉の一部が結節性に肥大し,それに接する周囲の肝細胞索を圧迫し萎縮させていた.夫々の結節には結合織性の被膜は全く存在せず,線維化も伴っていなかった.この様な所見は従来報告されている,いわゆる“Nodular Regenerative Hyperplasia”の所見に一致する.脾には軽い慢性脾炎と軽い髄外造血巣を認めた.それ以外に,両側肺に重篤な気管支肺炎と間質性肺炎があり直接死因となったと考えられる.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.21.472