Drug-induced lipidosis(第1報)自験例の検索と本邦報告例の総括

最近foam cell syndromeおよび燐脂質脂肝として多数の症例が報告されているが,これらは血液学および肝臓病学の立場より別々に報告されたきてものであり,両者は本質的には同一の疾患である5)その後われわれは動物実験6)により,4,4'-diethyl-aminoethoxy hexestrol dihydrochlorideの服用が本疾患の原因であることを確認した.本疾患はこの薬物を1~2年の長期間服用することにより微熱,全身倦怠感,心窩部重圧感等の症状をもつて発症する.臨床所見としては肝脾腫,血沈亢進,CRP陽性,肝機能障害,γ-globulinの増加,高脂血症等があり,骨...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本内科学会雑誌 Vol. 60; no. 3; pp. 224 - 234
Main Authors 足立, 進, 山本, 章, 進士, 義剛, 那須, 輝史, 木谷, 照夫, 関, 孝一, 西川, 光夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 1971
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:最近foam cell syndromeおよび燐脂質脂肝として多数の症例が報告されているが,これらは血液学および肝臓病学の立場より別々に報告されたきてものであり,両者は本質的には同一の疾患である5)その後われわれは動物実験6)により,4,4'-diethyl-aminoethoxy hexestrol dihydrochlorideの服用が本疾患の原因であることを確認した.本疾患はこの薬物を1~2年の長期間服用することにより微熱,全身倦怠感,心窩部重圧感等の症状をもつて発症する.臨床所見としては肝脾腫,血沈亢進,CRP陽性,肝機能障害,γ-globulinの増加,高脂血症等があり,骨髄にfoamy cell,末梢血中の白血球に空胞を認める.脂質分析では全身の諸臓器にlyso-bis-phosphatidic acidを主体とする燐脂質とfree sterolの蓄積がみられる.組織学的検索では全身の諸臓器に大きな明るい細胞質を持つた細胞があり,電顕像ではミエリン様の物質がその中に含まれている.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.60.224