成人型シトルリン血症の1例

患者は, 48才の男性であり, 1985年2月以来反復出現していた意識障害を主訴として,同年5月に入院した.血中のcitrullineの著増とarginineの増加,分枝鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸・比の低下,生検肝におけるargininosuccinate synthetase含量の減少とその正常なkineticsから,患者は成人型シトルリン血症のtype IIと診断された.発症後3カ月から約2年間にわたって,種々の治療が試みられた.その結果,低蛋白食,消化管クリーニングを基盤とし,分枝鎖アミノ酸,安息香酸ナトリウムの投与を中心とした薬物療法が,意識水準の保持に効果的であった.この報告では,主...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 77; no. 4; pp. 510 - 515
Main Authors 秋山, 建児, 長谷川, 岳尚, 小笠原, 正洋, 中村, 公英, 岩田, 光高, 建部, 高明, 石井, 兼央
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 1988
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Summary:患者は, 48才の男性であり, 1985年2月以来反復出現していた意識障害を主訴として,同年5月に入院した.血中のcitrullineの著増とarginineの増加,分枝鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸・比の低下,生検肝におけるargininosuccinate synthetase含量の減少とその正常なkineticsから,患者は成人型シトルリン血症のtype IIと診断された.発症後3カ月から約2年間にわたって,種々の治療が試みられた.その結果,低蛋白食,消化管クリーニングを基盤とし,分枝鎖アミノ酸,安息香酸ナトリウムの投与を中心とした薬物療法が,意識水準の保持に効果的であった.この報告では,主としてシトルリン血症の治療について考察を加えた.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.77.510