カイコの培養胚における細胞質型多角体病ウイルスの感染

カイコの培養胚(除殻全体培養)に細胞質型多角体病ウイルスを接種すると,中腸細胞に多角体が形成される。多角体形成は,正常に発育して漿膜を飲み込み,ふ化直前の形態に近い胚の中腸に限ってみられ,中腸原基や畸形的に発育した中腸組織が培地中に伸びたものには認められなかった。これは,培養胚においては飲み込ませることが細胞質型多角体病ウイルスの接種方法として最も有効であること,および中腸細胞のある程度以上の形態的または生理的分化がウイルスの感染の成立に必要なことを示すものであろう。多角体保有蛾の産んだ卵を培養して調査したが,無接種の胚の中腸には多角体が発見できなかった。...

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Published in日本応用動物昆虫学会誌 Vol. 11; no. 4; pp. 182 - 186
Main Authors 高見, 丈夫, 北沢, 敏男, 杉山, 八郎, 神田, 俊男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本応用動物昆虫学会 1967
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ISSN0021-4914
1347-6068
DOI10.1303/jjaez.11.182

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Summary:カイコの培養胚(除殻全体培養)に細胞質型多角体病ウイルスを接種すると,中腸細胞に多角体が形成される。多角体形成は,正常に発育して漿膜を飲み込み,ふ化直前の形態に近い胚の中腸に限ってみられ,中腸原基や畸形的に発育した中腸組織が培地中に伸びたものには認められなかった。これは,培養胚においては飲み込ませることが細胞質型多角体病ウイルスの接種方法として最も有効であること,および中腸細胞のある程度以上の形態的または生理的分化がウイルスの感染の成立に必要なことを示すものであろう。多角体保有蛾の産んだ卵を培養して調査したが,無接種の胚の中腸には多角体が発見できなかった。
ISSN:0021-4914
1347-6068
DOI:10.1303/jjaez.11.182