脳機能研究によるconcealed information testの動向
本稿は,脳機能の指標として記録される,事象関連電位(ERP)と機能的核磁気共鳴画像(fMRI)によるconcealed information test(CIT)に関する最近の研究を主に論述した。ERPによるCIT研究によると,犯罪捜査への実務応用に最も有望な指標は,被験者の課題に関連し,まれで有意味な事象に対して生起するP300である。しかしながら,ERPによるCITに対するカウンタメジャーへの対抗策と個別判定の基準が,犯罪捜査に応用する前に確立されなければならない。fMRI研究のほとんどは,被験者が本当のことを言うより,嘘をつくときに前頭前野の大きな賦活を示している。しかしながら,これらの...
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Published in | 生理心理学と精神生理学 Vol. 27; no. 1; pp. 57 - 70 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本生理心理学会
30.04.2009
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ISSN | 0289-2405 2185-551X |
DOI | 10.5674/jjppp.27.57 |
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Summary: | 本稿は,脳機能の指標として記録される,事象関連電位(ERP)と機能的核磁気共鳴画像(fMRI)によるconcealed information test(CIT)に関する最近の研究を主に論述した。ERPによるCIT研究によると,犯罪捜査への実務応用に最も有望な指標は,被験者の課題に関連し,まれで有意味な事象に対して生起するP300である。しかしながら,ERPによるCITに対するカウンタメジャーへの対抗策と個別判定の基準が,犯罪捜査に応用する前に確立されなければならない。fMRI研究のほとんどは,被験者が本当のことを言うより,嘘をつくときに前頭前野の大きな賦活を示している。しかしながら,これらの研究は,2つの目的に分かれており,1つ目が嘘に伴う機能的な神経解剖学と認知処理への関心,2つ目がCITをさらに洗練させることに向けられている。今後,CIT手続きに基づく研究が,犯罪捜査のために必要であろう。 |
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ISSN: | 0289-2405 2185-551X |
DOI: | 10.5674/jjppp.27.57 |