正常体重者, 肥満症, 神経性食思不振症および原発性副腎不全における血清レプチン値

正常体重者(男6名, 女5名), 肥満症(男2名, 女1名), やせの高度な神経性食思不振症(女2名)および正常体重の原発性副腎不全(女1名)などの症例において血中レプチン値を測定し, 体重, 体脂肪量との相関や性差を観察するとともに, 上記各疾患における病態との関連を検討した. 血中レプチン値は体重, Body mass index (BMI), 体脂肪量と正の相関を示し, このうち体脂肪量と最も強い相関を認めた. 正常体重者においては女性(7.6±0.6ng/ml)は男性(2.6±1.1)より有意に高値であり, これは両群間における体脂肪分布や性ホルモンの差による可能性が考えられた. 肥満...

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Published in医療 Vol. 52; no. 7; pp. 426 - 430
Main Authors 井上, 薫, 松永, 静, 岡嶋, 泰一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1998
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.52.426

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Summary:正常体重者(男6名, 女5名), 肥満症(男2名, 女1名), やせの高度な神経性食思不振症(女2名)および正常体重の原発性副腎不全(女1名)などの症例において血中レプチン値を測定し, 体重, 体脂肪量との相関や性差を観察するとともに, 上記各疾患における病態との関連を検討した. 血中レプチン値は体重, Body mass index (BMI), 体脂肪量と正の相関を示し, このうち体脂肪量と最も強い相関を認めた. 正常体重者においては女性(7.6±0.6ng/ml)は男性(2.6±1.1)より有意に高値であり, これは両群間における体脂肪分布や性ホルモンの差による可能性が考えられた. 肥満症例ではレプチン値は上昇していたが, 摂取カロリーの減少と減量に伴い低下した. 以上のことから血中レプチン値は肥満の重症度の判定として, また減量効果の指標として有用であると考えられた. 神経性食思不振症では血中レプチン値の低下を認め, 本症における食欲不振症状の発現にはレプチンの持つ食欲抑制効果は関与しないことが示唆された. 副腎不全では正常体重であるにもかかわらずレプチン値の低下を認め, コルチゾール分泌低下との関連が示唆された.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.52.426