高浸透圧血症により意識障害の遷延したCNSループスの一例
症例は51歳女性.昭和52年(33歳)頃SLEを発症しプレドニゾロン治療を受けていたが,昭和59年以降はプレドニゾロンを中止していた.平成6年1月よりうつ状態となり, 3月上旬に失見当識が出現し当科に入院.入院時軽度の意識障害を伴う著明な抑うつ状態を認めた.また,血小板7万/mm3と低下,抗核抗体は10240倍(Speckled型)と高値を示し,髄液IL-6も3.382U/mlと著明に上昇していた.以上より活動性のCNSループスと診断し, 3月7日よりメチルプレドニゾロン100mg/日開始し,さらにステロイドパルス療法を2クール併用した.これにより,髄液IL-6は低下したが,意識障害は遷延した...
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Published in | 日本臨床免疫学会会誌 Vol. 22; no. 3; pp. 131 - 136 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
日本臨床免疫学会
1999
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0911-4300 1349-7413 |
DOI | 10.2177/jsci.22.131 |
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Summary: | 症例は51歳女性.昭和52年(33歳)頃SLEを発症しプレドニゾロン治療を受けていたが,昭和59年以降はプレドニゾロンを中止していた.平成6年1月よりうつ状態となり, 3月上旬に失見当識が出現し当科に入院.入院時軽度の意識障害を伴う著明な抑うつ状態を認めた.また,血小板7万/mm3と低下,抗核抗体は10240倍(Speckled型)と高値を示し,髄液IL-6も3.382U/mlと著明に上昇していた.以上より活動性のCNSループスと診断し, 3月7日よりメチルプレドニゾロン100mg/日開始し,さらにステロイドパルス療法を2クール併用した.これにより,髄液IL-6は低下したが,意識障害は遷延した. 3月中旬より血漿浸透圧が316~325mOsm/kgと常に高値であるのに対し,血中ADHが相対的に低く, ADH分泌不全の存在が示唆された.その後,全身性播種性アスペルギルス症を併発し4月26日死亡した.本症例では, CNSループスに合併したosmoreceptorの反応性の低下による高浸透圧血症のため,意識障害が遷延したものと考えられた. |
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ISSN: | 0911-4300 1349-7413 |
DOI: | 10.2177/jsci.22.131 |