C型肝炎に於ける合成ペプタイドを用いたELISA系による血清HCV抗体の測定

C5-1-1領域の42アミノ酸より合成したpeptide (SP42)を用いたELISA系を使用し,非A非B型(NANB)肝疾患患者及び他の肝疾患患者の血中HCV抗体値を測定し,その一部についてはC-100 ELISA assay系と比較検討した.本法による血中HCV抗体陽性率は,NANB慢性肝炎では69.3%,肝硬変68.5%,肝癌74.4%,急性肝炎20%で,輸血歴を有する例で陽性率が高かった.対照としたアルコール性肝障害では17.0%,ルポイド肝炎(AIH) 7.7%で,急性A型,B型肝炎,PBC,薬剤性肝障害,脂肪肝では検出されなかった.C-100 ELISAassay系との血中HCV...

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Published in肝臓 Vol. 32; no. 1; pp. 17 - 24
Main Authors 田中, 直英, 中島, 喜一郎, 林, 仲信, 森山, 淳子, 松尾, 裕, 志方, 俊夫, 新田, 邦宏, 天木, 秀一, 大久保, 仁, 森山, 光彦, 所, 正彦, 高橋, 知秀, 荒川, 泰行, 橋本, 正勝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1991
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.32.17

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Summary:C5-1-1領域の42アミノ酸より合成したpeptide (SP42)を用いたELISA系を使用し,非A非B型(NANB)肝疾患患者及び他の肝疾患患者の血中HCV抗体値を測定し,その一部についてはC-100 ELISA assay系と比較検討した.本法による血中HCV抗体陽性率は,NANB慢性肝炎では69.3%,肝硬変68.5%,肝癌74.4%,急性肝炎20%で,輸血歴を有する例で陽性率が高かった.対照としたアルコール性肝障害では17.0%,ルポイド肝炎(AIH) 7.7%で,急性A型,B型肝炎,PBC,薬剤性肝障害,脂肪肝では検出されなかった.C-100 ELISAassay系との血中HCV抗体陽性率の比較では,ほぼ5~10%程度本法の陽性率が低い傾向にあった.これは,C-100 ELISA assay系の偽陽性かあるいは,本法の感度不良によるものかは,現在のところ不明ではあるが,最近PCR法にてC-100抗体の偽陽性を示唆する所見も得られており,本法はC型肝炎の臨床診断に有用であると思われた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.32.17