外傷性椎骨脳底動脈血栓症によりLocked-in症候群を呈した1例

外傷を契機として発症した椎骨脳底動脈血栓症により, locked-in症候群を呈した長期生存例を報告する.症例は47歳, 男性.頭部外傷約6時間半後に, 昏睡, 四肢麻痺に陥り入院した.除脳硬直, ocular bobbingがみられ, 脳血管撮影にて椎骨動脈脳底動脈閉塞が確認され脳底動脈血栓症と診断した.受傷後3日目より意識清明となり, いわゆるlocked-in症候群を呈し, 2年以上におよぶ長期生存を得ている.さらに, 強迫泣を伴い, 経過中一過性に両下肢に有痛性強直性痙攣発作を呈した.頭部CTでは, 橋腹側に低吸収域を認め, さらに経過とともに脳幹および大脳皮質に萎縮が認められた.外傷...

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Published in脳卒中 Vol. 5; no. 1; pp. 60 - 66
Main Authors 広瀬, 隆一, 五十嵐, 久佳, 古橋, 紀久, 神田, 直, 田崎, 義昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 1983
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Summary:外傷を契機として発症した椎骨脳底動脈血栓症により, locked-in症候群を呈した長期生存例を報告する.症例は47歳, 男性.頭部外傷約6時間半後に, 昏睡, 四肢麻痺に陥り入院した.除脳硬直, ocular bobbingがみられ, 脳血管撮影にて椎骨動脈脳底動脈閉塞が確認され脳底動脈血栓症と診断した.受傷後3日目より意識清明となり, いわゆるlocked-in症候群を呈し, 2年以上におよぶ長期生存を得ている.さらに, 強迫泣を伴い, 経過中一過性に両下肢に有痛性強直性痙攣発作を呈した.頭部CTでは, 橋腹側に低吸収域を認め, さらに経過とともに脳幹および大脳皮質に萎縮が認められた.外傷に続発したlocked-in症候群の報告は7例であり, 本邦での報告はない.外傷に伴う椎骨動脈閉塞症の発現機序を文献的に考察し, さらに外傷後のlocked-in症候群の特徴を指摘した.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.5.60