セルセーバーを用いた開心術中の回収式自己血輸血における溶血の検討
開心術症例14例を対象にセルセーバーを用いて体外循環開始前と終了後の術野出血(術野吸引血)および体外循環開回路残留血(回路残留血)の遠心分離, 洗浄処理を行い返血した場合の溶血の程度を術野吸引血と回路残留血の両者の回収率, 回収血中の遊離ヘモグロビン, 廃液中の遊離ヘモグロビン量などで比較した。術野吸引血の回収率(687±129%)は回路残留血の回収率(82.9±11.4%)に比して低率で, 術野回収血中の遊離ヘモグロビン濃度は, 回路回収血に比して有意に高値を示した。また, 術野吸引血の廃液中の遊離ヘモグロビン量(17.4±121g)は回路残留血の廃液(0.7±0.7g)に比して10倍以上の...
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Published in | 人工臓器 Vol. 19; no. 1; pp. 569 - 571 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本人工臓器学会
1990
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0300-0818 1883-6097 |
DOI | 10.11392/jsao1972.19.569 |
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Summary: | 開心術症例14例を対象にセルセーバーを用いて体外循環開始前と終了後の術野出血(術野吸引血)および体外循環開回路残留血(回路残留血)の遠心分離, 洗浄処理を行い返血した場合の溶血の程度を術野吸引血と回路残留血の両者の回収率, 回収血中の遊離ヘモグロビン, 廃液中の遊離ヘモグロビン量などで比較した。術野吸引血の回収率(687±129%)は回路残留血の回収率(82.9±11.4%)に比して低率で, 術野回収血中の遊離ヘモグロビン濃度は, 回路回収血に比して有意に高値を示した。また, 術野吸引血の廃液中の遊離ヘモグロビン量(17.4±121g)は回路残留血の廃液(0.7±0.7g)に比して10倍以上の高値を示した。術野吸引血は回路残留血に比して溶血は著しく高度であり, 回路残留血は直接返血や限外炉過法による返血も可能であるが, 術野吸引血に関しては可及的にセルセーバーにより遠心分離, 洗浄処理後に返血することが望ましいと考えられた。 |
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ISSN: | 0300-0818 1883-6097 |
DOI: | 10.11392/jsao1972.19.569 |