配偶者と死別後1年以内のアルツハイマー病高齢者における喪の過程 環境要因と夫婦の関係性に着目して
目 的 自宅,または施設で生活をする,配偶者と死別したアルツハイマー病(以下,AD)高齢者の喪の過程について,環境要因,ならびに夫婦の関係性から影響を探ることである。 方 法 自宅ではAD高齢者の家族と専門職を2名1組とし,施設では専門職に半構造化面接を行った。得られたデータは質的内容分析をした。 結 果 自宅の対象者は専門職が3名,家族が3名,施設では専門職が3名であった。分析の結果,自宅の方が施設よりも喪の様相が多く認められた。要因として,自宅の方が配偶者を想起する物や場所があること,および周囲の者の関わり方の影響が考えられた。夫婦関係が良好の事例からは【後悔と夢】【周囲の関わりによ...
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Published in | 文化看護学会誌 Vol. 13; no. 1; pp. 1_28 - 1_37 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
文化看護学会
31.05.2021
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Subjects | |
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ISSN | 1883-8774 2433-4308 |
DOI | 10.24658/bunkakango.13.1_1_28 |
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Summary: | 目 的 自宅,または施設で生活をする,配偶者と死別したアルツハイマー病(以下,AD)高齢者の喪の過程について,環境要因,ならびに夫婦の関係性から影響を探ることである。 方 法 自宅ではAD高齢者の家族と専門職を2名1組とし,施設では専門職に半構造化面接を行った。得られたデータは質的内容分析をした。 結 果 自宅の対象者は専門職が3名,家族が3名,施設では専門職が3名であった。分析の結果,自宅の方が施設よりも喪の様相が多く認められた。要因として,自宅の方が配偶者を想起する物や場所があること,および周囲の者の関わり方の影響が考えられた。夫婦関係が良好の事例からは【後悔と夢】【周囲の関わりによる慰め】【悲哀と無関心】というテーマが得られた。【周囲の関わりによる慰め】は〔娯楽への参加により死別の悲しみが癒されるが,仏壇に向かうとしんみりとする〕より抽出された。【悲哀と無関心】は,アパシーがある事例の,〔亡くなった瞬間は配偶者の名前を呼んで泣き崩れるが,遺体が見えなくなった瞬間に何事もなかったようにおやつを食べる〕より抽出された。一方,不良の事例からは【不快時の大声と異食】【追悼】というテーマが得られた。【追悼】は〔家族やスタッフとの会話から俳句を詠む〕から見いだされた。 AD高齢者の喪の過程においては,仏壇や墓参りなどの活用といった日本文化的なスピリチュアルケア,および本人がリラックスし癒されるようなケアの創出が重要であることが示唆された。 |
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ISSN: | 1883-8774 2433-4308 |
DOI: | 10.24658/bunkakango.13.1_1_28 |